「ホーライ製薬」へ

「医薬品ができるまで」へ

.

改正「省令GCP」のトップページ 第一章 総則〜第二章 治験の準備 第三章 治験の管理に関する基準 第四章 治験を行う基準


改正「省令GCP」の運用通知(運用GCP)
その1
第一章 総則〜第二章 治験の準備に関する基準
(「自ら治験を実施しようとする者」関連は削除しています。)



○医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について
(平成18年9月21日)
(薬食審査発第0921001号)
(各都道府県衛生主管部(局)長あて厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知)
医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(平成9年厚生省令第28号)の運用については、平成17年10月25日付薬食審査発第1025009号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「『医薬品の臨床試験の実施の基準の運用について』の改正について」(以下「旧運用通知」という。)により定めてきたところですが、今般、平成18年3月31日に公布された「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令」(平成18年厚生労働省令第72号)により改正された医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令(以下「GCP省令」という。)が施行されたことに伴い、GCP省令の運用を別添のとおり定めましたので、貴管内関係業者、医療機関、当該医療機関における医薬品の臨床試験に携わる者等に対し周知いただきますよう御配慮願います。
なお、本通知の施行に伴い、旧運用通知は廃止いたします。



標記について、平成18年9月21・日付薬食審査発第0921001号をもって、別添写しのとおり、各都道府県衛生主管部(局)長宛て通知しましたので、貴管内医療機関及び当該医療機関における医薬品の臨床試験に携わる者等に対し周知いただきますよう御配慮願います。

(別添)
旧運用通知との主な相違点
1.平成18年厚生労働省令第72号によるGCP省令の一部改正、平成18年4月1日付薬食発第0401001号厚生労働省医薬食品局長通知「『医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令』(治験審査委員会の質及び機能の向上関係)の施行について」及び平成18年4月1日付薬食審査発第0401001号厚生労働省医薬食品局審査管理課長通知「『医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の一部を改正する省令』(治験審査委員会の質及び機能の向上関係)の施行に関する留意事項について」による記載整備
2.治験実施計画書におけるモニター等に係る記載について解釈を追記(第7条第1項、第15条の4第1項)
3.自ら治験を実施する者と治験薬提供者との間で行われる治験薬に係る情報の収集等について明記(第15条の5第1項、第26条の6第1項)
4.迅速審査の定義について追記(第28条第2項)
5.治験審査委員会の委員候補を常時確保することについての解釈を追記(第28条第2項)
6.モニター等への協力に係る解釈を明記(第37条)
7.治験事務局の業務内容について追記(第38条)
8.被験者に対する説明文書における治験審査委員会に係る情報の提供についての解釈を追記(第51条第1項)

医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令の目次

第一章 総則
第1条 趣旨
第2条 定義
第3条 承認審査資料の基準

第二章 治験の準備に関する基準
第一節 治験の依頼をしようとする者による治験の準備に関する基準
第4条 業務手順書等
第5条 毒性試験等の実施
第6条 医療機関等の選定
第7条 治験実施計画書
第8条 治験薬概要書
第9条 説明文書の作成の依頼
第10条 実施医療機関の長への文書の事前提出
第11条 治験薬の事前交付の禁止
第12条 業務の委託
第13条 治験の契約
第14条 被験者に対する補償措置
第15条 治験国内管理人
第二節 自ら治験を実施しようとする者による治験の準備に関する基準
第15条の2 業務手順書等
第15条の3 毒性試験等の実施
第15条の4 治験実施計画書
第15条の5 治験薬概要書
第15条の6 説明文書の作成
第15条の7 実施医療機関の長への文書の事前提出等
第15条の8 業務の委託
第15条の9 被験者に対する補償措置

第三章 治験の管理に関する基準
第一節 治験依頼者による治験の管理に関する基準
第16条 治験薬の管理
第17条 治験薬の交付
第18条 多施設共同治験
第19条 効果安全性評価委員会の設置
第20条 副作用情報等
第21条 モニタリングの実施
第22条 モニターの責務
第23条 監査
第24条 治験の中止等
第25条 総括報告書
第26条 記録の保存等
第二節 自ら治験を実施する者による治験の管理に関する基準
第26条の2 治験薬の管理
第26条の3 治験薬の品質の確保
第26条の4 多施設共同治験
第26条の5 効果安全性評価委員会の設置
第26条の6 副作用情報等
第26条の7 モニタリングの実施
第26条の8 モニターの責務
第26条の9 監査
第26条の10 治験の中止等
第26条の11 総括報告書
第26条の12 記録の保存等

第四章 治験を行う基準
第一節 治験審査委員会
第27条 治験審査委員会の設置
第28条 治験審査委員会の構成等
第29条 治験審査委員会の会議
第30条 治験審査委員会の審査
第31条 継続審査等
第32条 治験審査委員会の責務
第33条 治験審査委員会の意見
第34条 記録の保存
第二節 実施医療機関
第35条 実施医療機関の要件
第36条 実施医療機関の長
第37条 モニタリング等への協力
第38条 治験事務局
第39条 治験薬の管理
第39条の2 業務の委託等
第40条 治験の中止等
第41条 記録の保存
第三節 治験責任医師
第42条 治験責任医師の要件
第43条 治験分担医師等
第44条 被験者となるべき者の選定
第45条 被験者に対する責務
第46条 治験実施計画書からの逸脱
第47条 症例報告書等
第48条 治験中の副作用等報告
第49条 治験の中止等
第四節 被験者の同意
第50条 文書による説明と同意の取得
第51条 説明文書
第52条 同意文書等への署名等
第53条 同意文書の交付
第54条 被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合
第55条 緊急状況下における救命的治験
第五章 再審査等の資料の基準
第56条 再審査等の資料の基準
第六章 治験の依頼等の基準
第57条 法第80条の2第1項の厚生省令で定める基準
第58条 法第80条の2第4項の厚生省令で定める基準
第59条 法第80条の2第5項の厚生省令で定める基準
附則
用語解説:
本通知における、「治験審査委員会」、第30条第1項の規定による「実施医療機関設置治験審査委員会」、「実施医療機関等設置治験審査委員会」、第30条第5項の規定による「専門治験審査委員会」、第30条第8項の規定による「第三者治験審査委員会」、第37条第1項の規定による「実施医療機関等設置治験審査委員会等」の記載については、これらの厳密な区別を要しない場合は、一般的な用語として、「治験審査委員会」を用いた。


1.第一章 総則
(趣旨)
第1条 この省令は、薬事法(以下「法」という。)第14条第3項(同条第9項及び法第19条の2第5項において準用する場合を含む。以下同じ。)並びに法第14条の4第4項及び第14条の6第4項(これらの規定を法第19条の4において準用する場合を含む。以下同じ。)に規定する厚生労働大臣の定める基準のうち医薬品の臨床試験の実施に係るもの並びに第80条の2第1項、第4項及び第5項に規定する厚生労働省令で定める基準を定めるものとする。

1 この基準は、医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち臨床試験の試験成績に関する資料の収集を目的とする試験の実施(以下「治験」という。)及び製造販売後臨床試験に関する計画、実施、モニタリング、監査、記録、解析及び報告等に関する遵守事項を定め、被験者の人権、安全及び福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と成績の信頼性を確保することを目的とするものである。
2 治験に関する原則的事項としては、次の事項があげられる。製造販売後臨床試験を実施する際も準拠すべきである。
1) 治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び本基準(この省令で定める基準を以下「本基準」という。)を遵守して行われなければならない。
2) 治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量するものとする。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。
3) 被験者の人権、安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
4) 治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。
5) 治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。
6) 治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施しなければならない。
7) 被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うべきである。
8) 治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていなければならない。
9) 全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。
10) 治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存しなければならない。
11) 被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。
12) 治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、治験薬GMP(「治験薬の製造管理及び品質管理基準及び治験薬の製造施設の構造設備基準(治験薬GMP)について」平成9年3月31日付薬発第480号)を遵守して行うものとする。治験薬は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用するものとする。
13) 治験のあらゆる局面の質を保証するための手順を示したシステムが、運用されなければならない。
14) 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。


(定義)
第2条 この省令において「製造販売後臨床試験」とは、医薬品の製造販売後の調査及び試験の実施の基準に関する省令(平成16年厚生労働省令第171号)第2条第4項に規定する製造販売後臨床試験をいう。
2 この省令において「実施医療機関」とは、治験又は製造販売後臨床試験を行う医療機関をいう。
3 この省令において「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
4 この省令において「製造販売後臨床試験責任医師」とは、実施医療機関において製造販売後臨床試験に係る業務を統括する医師又は歯科医師をいう。
5 この省令において「被験薬」とは、治験の対象とされる薬物又は製造販売後臨床試験の対象とされる医薬品をいう。
6 この省令において「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる医薬品又は薬物その他の物質をいう。
7 この省令において「治験薬」とは、被験薬及び対照薬(治験に係るものに限る。)をいう。
8 この省令において「製造販売後臨床試験薬」とは、被験薬及び対照薬(製造販売後臨床試験に係るものに限る。)をいう。
9 この省令において「被験者」とは、治験薬若しくは製造販売後臨床試験薬を投与される者又は当該者の対照とされる者をいう。
10 この省令において「原資料」とは、被験者に対する治験薬又は製造販売後臨床試験薬の投与及び診療により得られたデータその他の記録をいう。
11 この省令において「治験分担医師」とは、実施医療機関において、治験責任医師の指導の下に治験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
12 この省令において「製造販売後臨床試験分担医師」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師の指導の下に製造販売後臨床試験に係る業務を分担する医師又は歯科医師をいう。
13 この省令において「症例報告書」とは、原資料のデータ及びそれに対する治験責任医師若しくは治験分担医師又は製造販売後臨床試験責任医師若しくは製造販売後臨床試験分担医師の評価を被験者ごとに記載した文書をいう。
14 この省令において「治験協力者」とは、実施医療機関において、治験責任医師又は治験分担医師の指導の下にこれらの者の治験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。
15 この省令において「製造販売後臨床試験協力者」とは、実施医療機関において、製造販売後臨床試験責任医師又は製造販売後臨床試験分担医師の指導の下にこれらの者の製造販売後臨床試験に係る業務に協力する薬剤師、看護師その他の医療関係者をいう。
16 この省令において「モニタリング」とは、治験又は製造販売後臨床試験が適正に行われることを確保するため、治験又は製造販売後臨床試験の進捗状況並びに治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験の計画書(以下「治験実施計画書」という。)又は製造販売後臨床試験の計画書(以下「製造販売後臨床試験実施計画書」という。)に従って行われているかどうかについて治験の依頼をした者(以下「治験依頼者」という。)若しくは製造販売後臨床試験の依頼をした者(以下「製造販売後臨床試験依頼者」という。)が実施医療機関に対して行う調査又は自ら治験を実施する者が実施医療機関に対して特定の者を指定して行わせる調査をいう。
17 この省令において「監査」とは、治験又は製造販売後臨床試験により収集された資料の信頼性を確保するため、治験又は製造販売後臨床試験がこの省令及び治験実施計画書又は製造販売後臨床試験実施計画書に従って行われたかどうかについて治験依頼者若しくは製造販売後臨床試験依頼者が行う調査、又は自ら治験を実施する者が特定の者を指定して行わせる調査をいう。
18 この省令において「有害事象」とは、治験薬又は製造販売後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての疾病又はその徴候をいう。
19 この省令において「代諾者」とは、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これらに準じる者をいう。
20 この省令において「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師をいう。
21 この省令において「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために法第80条の2第2項の規定に基づき治験の計画を届け出た治験責任医師をいう。
22 この省令において「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して治験薬を提供する者をいう。

1 第3項の「治験責任医師」とは、実施医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師である。実施医療機関において治験が複数の者からなるチームにより実施される場合には、当該チームを統括する医師又は歯科医師である。
2 第6項の「対照薬」とは、治験又は製造販売後臨床試験において被験薬と比較する目的で用いられる既承認有効成分若しくは未承認有効成分を含む製剤又はプラセボを意味する。
3 第10項の「原資料」とは、被験者に係る診療録、検査ノート、治験薬等の投与記録等の治験の事実経過の再現と評価に必要な記録を指す。具体的には、症例報告書等の元となる文書、データ及び記録(例:病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者フィルム及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)をいうものである。
4 第11項の「治験分担医師」とは、実施医療機関において治験を実施するチームに参加する個々の医師又は歯科医師で、治験責任医師によって指導・監督され、治験に係る重要な業務又は決定を行う者である。
5 第14項の「治験協力者」とは、実施医療機関において治験を実施するチームのメンバーで、治験責任医師によって指導・監督され、専門的立場から治験責任医師及び治験分担医師の業務に協力する者である。
6 第16項の「モニタリング」とは、治験が適正に行われることを確保するため、治験依頼者又は自ら治験を実施する者(又は製造販売後臨床試験依頼者)より指名されたモニターが、治験(又は製造販売後臨床試験)の進行状況を調査し、本基準並びに治験実施計画書(又は製造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動である。自ら治験を実施する者が、当該実施医療機関内の者をモニターに指定する場合には、当該治験に従事していない第三者を指定するべきであり、また、医療機関外部の第三者機関を利用することも可能である。
7 第17項の「監査」とは、治験(又は製造販売後臨床試験)が本基準並びに治験実施計画書(又は製造販売後臨床試験実施計画書)及び手順書に従って実施され、データが記録、解析され、正確に報告されているか否かを確定するため、治験依頼者又は自ら治験を実施する者(又は製造販売後臨床試験依頼者)によって指名された監査担当者が、独立した立場において治験に係る業務及び文書を体系的に検証することである。自ら治験を実施する者が、当該実施医療機関内の者を監査担当者に指定する場合には、当該治験又は当該治験に対するモニタリングに従事していない第三者を指定するべきであり、また、医療機関外部の第三者機関を利用することも可能である。なお、事実経過の再現を可能とする文書を「監査証跡」、監査が行われた旨の監査担当者による証明書を「監査証明書」、監査担当者が監査の結果の評価を記述したものを「監査報告書」という。
8 第18項の「有害事象」とは、治験薬又は製造販売後臨床試験薬を投与された被験者に生じたすべての好ましくない又は意図しない疾病又はその徴候(臨床検査値の異常を含む。)をいい、当該治験薬又は当該製造販売後臨床試験薬との因果関係の有無は問わない。
9 第19項の「代諾者」とは、治験への参加について、被験者に十分な同意の能力がない場合に、被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者であり、被験者の親権を行う者、配偶者、後見人その他これに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者でなければならない。
10 第20項の「自ら治験を実施しようとする者」とは、その所属する実施医療機関において自ら治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出ようとする者であって、治験責任医師となるべき医師又は歯科医師をいう。なお、GCPへの適合性の客観性が確保される限りにおいてやむを得ない場合にあっては、実施医療機関の長が自ら治験を実施しようとする者となることを妨げるものではない。
11 第21項の「自ら治験を実施する者」とは、その所属する実施医療機関において自らが治験を実施するために治験の計画を厚生労働大臣に届け出た治験責任医師をいう。なお、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関において共同で治験を実施するため、治験責任医師が連名で一の治験の計画を届け出た場合にも、各治験責任医師が「自ら治験を実施する者」と解される。
12 第22項の「治験薬提供者」とは、自ら治験を実施する者に対して薬物を提供する者をいう。この場合の治験薬提供者は、実施医療機関外部から当該実施医療機関に対して治験薬を提供する医薬品製造販売業者等をいう。
13 省令で規定するもののほか、次の用語については、以下に示すとおりである。
1) 「インフォームド・コンセント」並びに「説明文書」及び「同意文書」について
ア) 「インフォームド・コンセント」とは、被験者の治験への参加の意思決定と関連する、治験に関するあらゆる角度からの説明が十分なされた後に、被験者がこれを理解し、自由な意思によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認することをいう。
この際の説明に用いられる文書が「説明文書」(第51条参照)である。治験への参加に同意することを確認する文書が「同意文書」(第52条第1項参照)であり、被験者(若しくは代諾者)と治験責任医師等の記名なつ印又は署名と日付が記入される。
イ) 「説明文書」と「同意文書」は両者を一体化した文書又は一式の文書とすることが望ましい。
ウ) 同意文書は、説明文書の内容を十分に理解した上で、当該治験に参加することに同意する旨を記載した文書であるが(第52条第1項参照)、あらかじめ様式を定めている場合には、説明文書と一体化した文書又は一式の文書として取り扱われたい。
例えば、第10条に基づき実施医療機関の長に対し説明文書を提出する場合及び第32条に基づき治験審査委員会に対し審査資料として説明文書を提出する場合には、説明文書と同意文書をあわせて提出すること。また、第50条に基づき説明文書を用いて説明する場合には、説明文書と同意文書をあわせて用いて説明すること。
2) 「開発業務受託機関」について
治験の依頼及び管理に係る業務の一部を治験を依頼しようとする者から受託する者又は治験の実施の準備及び管理に係る業務の一部を自ら治験を実施しようとする者又は実施医療機関から受託する者は開発業務受託機関(CRO:Contract Research Organization)とも呼ばれる(第12条参照、第15条の8参照)。
3) 「治験施設支援機関」について
治験の実施に係る業務の一部を実施医療機関から受託する者は、治験施設支援機関(SMO:Site Management Organization)とも呼ばれる(第39条の2参照)。
4) 「効果安全性評価委員会」は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者又は自ら治験を実施する者に治験の継続、変更又は中止を提言することを目的として、治験依頼者又は自ら治験を実施する者が設置することができる治験依頼者又は自ら治験を実施する者、治験責任医師及び治験調整医師から独立した委員会であり、「独立データモニタリング委員会」とも呼ばれる(第19条及び第26条の5参照)。
5) 「公正な立会人」とは、治験の実施から独立し、治験に関与する者から不当に影響を受けない者で、被験者又は代諾者が同意文書等を読むことができない場合にインフォームド・コンセントの過程に立ち会う者である(第52条参照)。
6) 「症例報告書の見本」とは、各被験者に対して、治験依頼者に報告すること又は自ら治験を実施する者が保存することが治験実施計画書において規定されている全ての情報を記録するために印刷された又は光学的若しくは電子的な記録様式をいう(症例報告書の様式とも呼ばれている。)。なお、これに記録されたものは「症例報告書」という。
7) 「手順書」とは、治験に係る各々の業務が恒常的に又は均質に、かつ適正に実施されるよう手順を詳細に定めた文書をいう。
8) 「被験者識別コード」とは、個々の被験者の身元に関する秘密を保護するため、治験責任医師が各被験者に割り付けた固有の識別番号で、治験責任医師が有害事象及びその他の治験関連データを報告する際に、被験者の氏名、身元が特定できる番号及び住所等の代わりに用いるものである。
9) 「非臨床試験」とは、人を対象としない生物医学的試験及びその他の試験をいう。
10) 「副作用」とは、治験薬(対照薬として用いられる市販薬を除く。)については以下のとおり:
投与量にかかわらず、投与された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む。)。すなわち、当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。
市販薬については以下のとおり:
疾病の予防、診断、治療又は生理機能の調整のために用いられる通常の投与量範囲で投与された医薬品に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む。)。すなわち、当該医薬品と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。
(なお、本基準においては、副作用という用語を、薬理作用の中で主作用に対する副作用を意味する英語のside effectではなく、薬物有害反応adverse drug reactionに対応する意味で用いている。)
11) 「盲検化(又は遮蔽化)」とは、薬効評価に対する偏りの介入を避ける目的で、治験に参加する単数又は複数の当事者が、治療方法の割付けについて知らされないようにする措置をいう。単盲検法は通常、被験者が割付けの内容を知らされないこと、二重盲検法は被験者、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験依頼者、自ら治験を実施する者、モニター、監査担当者及び一部の事例ではデータ解析者が割付けの内容を知らされないことを指す。
(承認審査資料の基準)
第3条 法第14条又は第19条の2の承認を受けようとする者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第14条第3項に規定する資料の収集及び作成については、第二章第一節、第三章第一節及び第四章(第29条第1項第2号、第31条第4項、第32条第4項及び第7項、第33条第3項並びに第48条第3項を除く。)の規定の定めるところによる。
2 自ら治験を実施する者が行う医薬品の臨床試験の実施に係る法第14条第3項に規定する資料の収集及び作成については、第二章第二節、第三章第二節及び第四章(第29条第1項第1号、第32条第6項及び第8項並びに第48条第2項を除く。)の規定の定めるところによる。

1 医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、医薬品の製造販売承認申請を行おうとする者が行う臨床試験の成績に関する資料については、第二章第一節、第三章第一節及び第四章(第29条第1項第2号、第31条第3項、第32条第3項及び第5項、第33条第3項並びに第48条第3項を除く。)の規定の定めるところに従ったものでなければならない。
2 医薬品の製造販売承認申請の際に提出すべき資料のうち、自ら治験を実施する者が行う臨床試験の成績に関する資料については、第二章第二節、第三章第二節及び第四章(第29条第1項第1号、第32条第4項及び第6項並びに第48条第2項を除く。)の規定に定めるところに従ったものでなければならない。


2.第二章 治験の準備に関する基準
2―1 第一節 治験の依頼をしようとする者による治験の準備に関する基準

(業務手順書等)
第4条 治験の依頼をしようとする者は、治験実施計画書の作成、実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験薬の管理、副作用情報等の収集、記録の保存その他の治験の依頼及び管理に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
2 治験の依頼をしようとする者は、医師、歯科医師、薬剤師その他の治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者を確保しなければならない。

<第1項>
1 治験の依頼をしようとする者は、治験依頼者になることを意図した者であり、治験の依頼に係る治験実施計画書の作成、実施医療機関及び治験責任医師の選定、治験薬概要書の作成などの業務、治験の管理に係る治験薬の管理、副作用情報等の収集、モニタリング及び監査の実施、総括報告書の作成、記録の保存などの業務について手順書を作成しなければならない。
これは本基準における治験の依頼をしようとする者及び治験依頼者に係る業務の全てについて手順書を作成しなければならないという趣旨であり、本条の以下の解説において治験依頼者とあるのは、治験の依頼をしようとする者を含むものである。
2 治験依頼者は、治験の実施並びにデータの作成、記録及び報告が本基準及び治験実施計画書を遵守して行われることを保証するために、手順書に基づく品質保証及び品質管理システムを履行し、保持する責任を有する。
なお、「治験の品質保証」とは、治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、治験実施計画書及び本基準を遵守していることを保証するために設定された計画的かつ体系的な全活動を、「治験の品質管理」とは、治験関連の活動の質に求められる事項を充足しているか否かを検証するために治験の品質保証システムの一環として行われる実務的な手法及び活動をいう。
3 治験依頼者は、治験に関連する全てのデータの信頼性とその適正な処理を保証するために、データ取扱いの各段階に品質管理を適用しなければならない。
4 治験依頼者は、第16条第6項に基づき、実施医療機関の長又は実施医療機関の治験薬管理者が治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定めなければならない。当該手順書には、治験薬の受領、取扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験薬の被験者からの返却及び治験依頼者への返却又はその他の処分が、適切で確実に行われるように規定しなければならない。
5 治験依頼者が作成すべき記録の保存に関する手順書には、実施医療機関及び当該治験に係る審査を行った治験審査委員会において保存すべき記録(第34条及び第41条参照)について、その保存の必要がなくなった場合には、その旨を実施医療機関の長及び実施医療機関の長を経由して当該治験審査委員会の設置者に通知することを含むこと。
なお、第24条第2項及び第3項に規定されている治験の中断又は中止及び開発の中止に関する治験依頼者から実施医療機関の長への文書による通知に関する事項(当該通知を受けた実施医療機関の長から治験責任医師及び実施医療機関等設置治験審査委員会等への通知については、第40条第2項に規定されている。)及び当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合に、治験依頼者から実施医療機関の長へのその旨を通知することについても規定されている必要がある。
1) 治験依頼者は、治験を中止又は中断する場合には、治験に関与する全ての医療機関の長にその旨とその理由の詳細を速やかに文書で通知しなければならない(第24条第2項参照)。
2) 治験依頼者は、被験薬の開発(すなわち、その効能・効果、用法・用量又は製剤のいずれかあるいは全てについて)を中止する場合には、その旨とその理由の詳細を治験に関与する全ての医療機関の長に速やかに文書で通知しなければならない(第24条第3項参照)。
3) 医療機関の長は、治験依頼者が治験の中止又は中断若しくは被験薬の開発の中止を決定しその旨を通知してきた場合には、治験責任医師及び実施医療機関等設置治験審査委員会等に対し、また治験責任医師が治験を中止又は中断しその旨を報告してきた場合には、治験依頼者及び実施医療機関等設置治験審査委員会等に対し、それぞれ速やかにその旨を文書で通知するとともに、中止又は中断について文書で詳細に説明しなければならない(第40条第2項及び第3項参照)。
4) 治験依頼者は、当該被験薬に係る製造販売承認を得た場合には、その旨を医療機関の長に通知しなければならない。
6 治験依頼者は、治験責任医師及び治験分担医師に症例報告書の変更又は修正に関する手引きを提供するものとする(第47条第2項参照)。また、治験依頼者が指名した者によって行われた症例報告書の変更又は修正においては、それらが文書に記録され、必要なものであり、かつ治験責任医師が承認したものであることを保証するための手順書を作成しておかなければならない。
7 治験依頼者は、治験に関連する全ての施設及び原資料等の全ての治験関連記録を、治験依頼者によるモニタリング及び監査、並びに治験審査委員会及び規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得ておくものとし、これに関する規定が手順書に定められていること。
8 治験依頼者は、治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設又は治験依頼者のスタッフが本基準及び治験実施計画書、手順書を遵守していない場合には、遵守を確保するべく迅速な措置を講じなければならない。
<第2項>
1 「治験の依頼及び管理に係る業務を行うことにつき必要な専門的知識を有する者」とは、治験に関する医学的な問題について適切な助言を行う医学の専門家、並びに治験実施計画書、治験薬概要書等の作成・改訂、データの取扱い、統計解析の実施、総括報告書の作成等において活用されるべき治験依頼者内部及び外部の専門家(例:生物統計学者、臨床薬理学者)を含む。
2 治験依頼者は、治験に関する業務の総括的な監督、治験実施計画書、症例報告書の見本及び治験薬概要書の作成及び改訂、データの取扱い、検証及び統計解析の実施並びに治験の中間報告書(必要な場合)及び総括報告書等の作成等、治験の全過程を通じ、適格な者(例:生物統計学者、臨床薬理学者、医師)を活用しなければならない。
3 治験依頼者は、治験に関する医学的な問題について速やかに助言を得るために、適格な医学専門家を指名しなければならない。
4 治験の依頼をしようとする者は、治験を依頼する前に治験に関連する全ての業務を確定し、適格な者に割り当てるものとする。
注1) 第18条の規定により、多施設共同試験の場合には、治験依頼者は治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱できる。
注2) 第19条の規定により、効果安全性評価委員会を設置することができる。


(毒性試験等の実施)
第5条 治験の依頼をしようとする者は、被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験を終了していなければならない。

1 「被験薬の品質、毒性及び薬理作用に関する試験その他治験の依頼をするために必要な試験」とは、当該被験薬の物理的化学的性質、性状等に関する理化学試験等及び毒性、薬理作用、吸収、排泄等に関する動物試験等のいわゆる非臨床試験や臨床試験を指しているが、当該試験の具体的な項目、内容等については、当該試験の内容(治験のフェーズ、治験薬の投与経路及び投与期間、被験者の選択基準等)等を考慮のうえ、治験の依頼時点における科学的水準に照らし適正なものであること。
2 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議し、治験実施計画書及び症例報告書の見本の作成並びに必要に応じてそれらの改訂を行うが、その際当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、安全性及び有効性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることを保証しなければならない。また、そのための手続きを文書で定める(第4条参照)ものとする。
3 治験の依頼をしようとする者は、開発期間中に被験薬又は対照薬の製剤組成が大きく変更される場合には、製剤組成に関する追加の試験(安定性、溶出性、生物学的利用性等)に基づき、それらの変更が当該被験薬又は対照薬の薬物動態上の性質を大きく変えるか否かを評価するのに必要な成績を、新しい製剤組成の薬剤の使用前に入手しておかなければならない。
注) 第20条において治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他治験を適正に行うために必要な情報を収集・検討し、必要に応じて治験実施計画書等を改訂しなければならないことが規定されている。


(医療機関等の選定)
第6条 治験の依頼をしようとする者は、第35条に掲げる要件を満たしている実施医療機関及び第42条に掲げる要件を満たしている治験責任医師を選定しなければならない。

1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師及び実施医療機関を選定する責任を有する。治験の依頼をしようとする者は、当該治験を適切に実施するのに求められる要件を満たした治験責任医師及び実施医療機関を選定しなければならない。
注1) 実施医療機関の要件については第35条参照。
注2) 治験責任医師の要件については第42条参照。
注3) 第18条の規定により、多施設共同試験の場合には、治験依頼者は治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱させることができる。
注4) 第19条の規定により、効果安全性評価委員会を設置することができる。


(治験実施計画書)
第7条 治験の依頼をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した治験実施計画書を作成しなければならない。
1) 治験の依頼をしようとする者の氏名(法人にあっては、その名称。以下この号及び次号、第13条第2号及び第3号、第15条の4第1項第2号、第3号及び第7号並びに第16条第1項第2号において同じ。)及び住所(法人にあっては、その主たる事務所の所在地。以下この号及び次号、第13条第2号及び第3号、第15条、第15条の4第1項第2号、第3号及び第7号、第16条第1項第2号並びに第26条第2項において同じ。)(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに第15条に規定する治験国内管理人の氏名及び住所。第13条第2号において同じ。)
2) 治験に係る業務の一部を委託する場合にあっては、当該業務を受託した者(以下この章において「受託者」という。)の氏名、住所及び当該委託に係る業務の範囲
3) 実施医療機関の名称及び所在地
4) 治験責任医師となるべき者の氏名及び職名
5) 治験の目的
6) 被験薬の概要
7) 治験の方法
8) 被験者の選定に関する事項
9) 原資料の閲覧に関する事項
10) 記録(データを含む。)の保存に関する事項
11) 第18条の規定により治験調整医師に委嘱した場合にあっては、その氏名及び職名
12) 第18条の規定により治験調整委員会に委嘱した場合にあっては、これを構成する医師又は歯科医師の氏名及び職名
13) 第19条に規定する効果安全性評価委員会を設置したときは、その旨
2 治験の依頼をしようとする者は、当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
1) 当該治験が第50条第1項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしなければならないことの説明
2) 当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであることの説明
3 治験の依頼をしようとする者は、当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合には、その旨及び次に掲げる事項を治験実施計画書に記載しなければならない。
1) 当該被験薬が、生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として、製造販売の承認を申請することを予定しているものであることの説明
2) 現在における治療方法では被験者となるべき者に対して十分な効果が期待できないことの説明
3) 被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあることの説明
4) 第19条に規定する効果安全性評価委員会が設置されている旨
4 第1項の規定により治験実施計画書を作成するときは、当該治験実施計画書の内容及びこれに従って治験を行うことについて、治験責任医師となるべき者の同意を得なければならない。
5 治験の依頼をしようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験実施計画書を改訂しなければならない。この場合においては、前項の規定を準用する。

<第1項>
1 治験実施計画書には、作成の日付及び番号並びに改訂の日付及び改訂番号を記載すること。
2 治験実施計画書(改訂版を含む。)に通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申注1)の10を参照すること。なお、治験実施計画書の具体的記載にあたって、「治験の依頼をしようとする者」を「治験依頼者」と記載しても差し支えない。例えば、治験依頼者と記載して治験の依頼をしようとする者の氏名(法人にあってはその名称)住所(法人にあっては主たる事業所の所在地)を記載して差し支えない。
注1) 中央薬事審議会答申(平成9年3月13日中薬審第40号)は、現行の薬事食品衛生審議会の改変前の組織である中央薬事審議会が答申した医薬品の臨床試験の実施の基準であり、本基準の内容が示されたものである。
注2) 一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をしようとする場合は、中央薬事審議会答申10―1の5)(モニター及び監査担当者の氏名、職名及び電話番号等)については、施設に特有の情報として、各実施医療機関を担当するモニター及び監査担当者の氏名、職名及び電話番号等ごとに治験実施計画書の分冊として差し支えない。また、当該各実施医療機関の長に対しては、当該分冊のうち、当該各実施医療機関に係るもののみを提出することとして差し支えない。
注3) 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議し、治験実施計画書及び症例報告書の見本の作成並びに必要に応じてそれらの改訂を行うが、その際、当該治験の目的並びに当該治験で採用される投与対象集団、投与経路、用法・用量、投与期間、観察項目及び評価項目等の妥当性を支持できるだけの品質、安全性及び有効性に関する十分なデータが理化学試験等、非臨床試験及び先行する臨床試験から得られており、当該治験の倫理的及び科学的妥当性が裏付けられていることを保証しなければならない。また、そのための手続きを文書で定めるものとする(第5条参照)。
<第2項>
1 次の2に掲げる場合を除き、被験者に対する直接の臨床的利益が予期されない非治療的治験においては、必ず被験者本人から同意を得なければならない(第50条第4項参照)。
2 非治療的治験において、次の1)から4)に掲げる事項が全て満たされる場合には、被験者となるべき者の同意を得ることが困難な者を対象として、被験者となるべき者の代諾者による同意を得て治験を行うことができる。このような治験は、例外が正当化される場合を除き、被験薬の適応となることが意図された疾病又は症状を有する患者において行われるべきである。また、治験責任医師又は治験分担医師は、このような治験における被験者に対しては、特に綿密な観察を行い、もし不当な苦痛を受けていると見受けられた場合には治験を中止しなければならない。
1) 治験の目的が、本人による同意が可能な被験者による治験では達成されないこと。
2) 被験者に対する予見しうる危険性が低いこと。
3) 被験者の福祉に対する悪影響が最小限とされ、かつ低いこと。
4) 代諾者の同意に基づいて被験者を治験に組み入れる旨を明示した上で治験審査委員会に承認の申請がなされ、かかる被験者の参加を承認する旨が承認文書に記載されていること。
3 「当該治験が被験者に対して治験薬の効果を有しないこと、及び第50条第1項の同意を得ることが困難な者を対象にすることが予測される場合」とは、例えば、同意の能力を欠く者(小児等)を対象にした治験において、これらの者を被験者として薬物動態試験を行う必要がある場合が考えられる。また、「当該治験において、予測される被験者への不利益が必要な最小限度のものであること」とは、被験者に対する予見しうる危険性が低いこと、被験者への肉体的又は精神的な悪影響が、それらを避けるための努力が行われた上で、十分に低いことをいう。
4 代諾者の同意に関しては第50条第3項を参照すること(被験者の理解力に応じて説明を行い、可能であれば被験者からも同意を得るべきである。)。
<第3項>
1 「当該治験が第50条第1項及び第2項の同意を得ることが困難と予測される者を対象にしている場合」とは、次に掲げる点から、被験者又はその代諾者となるべき者から事前に同意を得ることが困難である緊急状況下における救命的な治験(第55条参照)である。
i) 被験者の状態から被験者の同意を得ることができないこと。
ii) 被験者の代諾者による同意が可能となる以前に、救急的に治験が開始される必要があること。
iii) 当該治験の被験者となり得る者をあらかじめ特定することが困難であること。
2 このような緊急状況下における救命的治験において、被験者となるべき者による事前の同意を得ることが不可能で、かつ、被験者となるべき者の代諾者と連絡が取れない場合にも治験が行われることが計画されている場合には、その旨及び次の事項が治験実施計画書に記載されていなければならない。
1) 生命が危険な状態にある傷病者に対して、その生命の危険を回避するため緊急に使用される医薬品として承認申請することを予定しているものであること。
2) 現在利用可能な治療方法では十分な効果が期待できないこと。
3) 被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあること。なお、そのことを支持する適切なデータが得られている必要があること。また、当該治験への参加から生じ得る被験者に対する危険性が、現在利用可能な治療方法のリスク・ベネフィットに照らして合理的であること。
4) 第19条に規定する効果安全性評価委員会が設置されていること。
5) 治験責任医師又は治験分担医師が、速やかに、被験者(又は代諾者となるべき者)に対して当該治験に関する説明を行い、当該治験への継続参加について同意を得ること(第55条第2項参照)及び被験者の身元が明らかでない者は治験の対象から除かれることについて、第7条第1項第7号の「治験の方法」及び第8号の「被験者の選定に関する事項」として治験実施計画書に記載されていること。また、治験責任医師がこの経過と結果を治験審査委員会に報告することについても記載されていること。
<第4項><第5項>
1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と治験実施計画書及び症例報告書の見本について合意をする前に、治験責任医師となるべき者に治験実施計画書案、症例報告書の見本案及び最新の治験薬概要書その他必要な資料・情報を提供しなければならない。治験実施計画書及び症例報告書の見本を改訂する場合も同様とする。
2 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者が提供された治験実施計画書案等の資料・情報を十分検討し、治験の依頼をしようとする者と協議するのに必要な時間を治験責任医師となるべき者に与えなければならない。治験実施計画書及び症例報告書の見本を改訂する場合も同様とする。
3 治験責任医師となるべき者は、治験実施計画書及び症例報告書の見本について治験の依頼をしようとする者と合意する前に、提供される治験実施計画書案、症例報告書の見本案及び最新の治験薬概要書その他必要な資料・情報に基づき治験の依頼をしようとする者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討しなければならない。治験実施計画書及び症例報告書の見本が改訂される場合も同様とする。
4 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者と協議した後、治験実施計画書及び症例報告書の見本の内容並びに当該治験実施計画書を遵守することについて治験責任医師となるべき者と合意しなければならない。治験の依頼をしようとする者と治験責任医師となるべき者は、この合意を証するため、治験実施計画書又はそれに代わる文書にそれぞれ記名捺印又は署名し、各自日付を記入するものとする。治験実施計画書及び症例報告書の見本を改訂する場合並びに治験審査委員会の意見に基づく医療機関の長の指示により治験実施計画書及び症例報告書の見本が修正される場合も同様とする。
5 治験責任医師となるべき者は、治験の依頼をしようとする者と治験実施計画書及び症例報告書の見本の内容に合意し、また、当該治験実施計画書を遵守することについて合意した旨を証するため、治験の依頼をしようとする者とともに治験実施計画書又はそれに代わる文書に記名捺印又は署名し、日付を記入するものとする。治験実施計画書及び症例報告書の見本が改訂される場合並びに治験審査委員会の意見に基づく医療機関の長の指示により治験実施計画書及び症例報告書の見本が修正される場合も同様とする。
注1) 第20条第3項において、治験依頼者が被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは必要に応じ、治験実施計画書を改訂しなければならないこと及び治験実施計画書の改訂について治験責任医師の同意を得なければならないことが規定されている。
注2) 治験実施計画書(改訂されたものを含む。)は、第10条の規定により治験の依頼をしようとする者から実施医療機関の長に提出され、第32条の規定により治験審査委員会に提出される。


(治験薬概要書)
第8条 治験の依頼をしようとする者は、第5条に規定する試験により得られた資料並びに被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報に基づいて、次に掲げる事項を記載した治験薬概要書を作成しなければならない。
1) 被験薬の化学名又は識別記号
2) 品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項
3) 臨床試験が実施されている場合にあっては、その試験成績に関する事項
2 治験の依頼をしようとする者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、当該治験薬概要書を改訂しなければならない。

<第1項>
1 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師及びその他治験に関与する者が、治験実施計画書の主要項目(投与量、投与回数・間隔、投与方法及び被験者の安全性を監視するための手順等)の合理的根拠を理解し、かつそれを遵守するための情報を提供するために、治験薬概要書を作成しなければならない。また、治験薬概要書は治験実施期間中の被験者の臨床上の管理に必要な知識も提供するものでなければならない。
2 治験薬概要書に記載されるデータは、簡潔、客観的、公平かつ販売促進に係わりのない形で提示されなければならない。
3 治験の依頼をしようとする者は、治験薬概要書の編集に当たっては一般的には医師を参加させることが望ましい。また、治験薬概要書の内容に関しては、そのデータを提供した専門部門の承認を得ておかなければならない。
4 治験薬概要書に記載すべき情報の種類や範囲は、被験薬の開発段階に応じた適当なものでなければならない。被験薬が市販され、その薬理学的性質が一般の医師に広く理解されている場合には、広範な情報を掲載した概要書は必要ない場合もありうる。
5 治験の依頼をしようとする者は、治験の実施に必要な非臨床試験及び臨床試験の成績をまとめた治験薬概要書を手順書に従って作成しなければならない。
6 第2号の「品質、毒性、薬理作用その他の被験薬に関する事項」とは、被験薬の物理的、化学的及び製剤学的性質、製剤組成、薬理、毒性、薬物動態、薬物代謝に関連する非臨床試験の成績を指す。
7 治験薬概要書には通常含まれているべき具体的事項については、中央薬事審議会答申※の11を参照すること。※第7条第1項の解説の2注1参照
<第2項>
1 治験の依頼をしようとする者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って治験薬概要書を改訂しなければならない。
2 治験の依頼をしようとする者は、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験責任医師、実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を報告するものとする。
3 治験の依頼をしようとする者は、開発段階に応じて、また被験薬に関連する新たな情報が国内外から得られた場合等には、手順書に従って少なくとも年に1回治験薬概要書を見直し、必要に応じて改訂するものとする。
注1) 第20条第3項において治験依頼者が被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他治験を適正に行うために重要な情報を知ったときに、必要に応じ、治験薬概要書を改訂しなければならないことが規定されている。
注2) 治験薬概要書(改訂されたものを含む。)は、第10条の規定により治験の依頼をしようとする者から実施医療機関の長に提出され、第32条の規定により治験審査委員会に提出される。


(説明文書の作成の依頼)
第9条 治験の依頼をしようとする者は、治験責任医師となるべき者に対して、第50条第1項の規定により説明を行うために用いられる文書(以下「説明文書」という。)の作成を依頼しなければならない。

1 治験の依頼をしようとする者は、実施医療機関の長に対して治験の依頼をする前に、被験者から治験の参加に関する同意を得るために用いられる説明文書(第51条参照)を治験責任医師となるべき者が作成するのに必要な資料・情報を治験責任医師となるべき者に提供し、その作成に協力するものとする。
注1) 治験責任医師となるべき者は、治験の依頼をしようとする者の協力を得て、被験者から治験への参加の同意を得るために用いる説明文書を作成し、必要な場合にはこれを改訂するものとする。作成又は改訂された当該文書は、治験の依頼をしようとする者に提出され、予め治験審査委員会の承認が得られていなければならない。
注2) 説明文書に記載すべき事項については、第51条第1項を参照すること。
注3) 説明文書の改訂については、第54条第2項を参照すること。


(実施医療機関の長への文書の事前提出)
第10条 治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、次に掲げる文書を実施医療機関の長に提出しなければならない。
1) 治験実施計画書(第7条第5項の規定により改訂されたものを含む。)
2) 治験薬概要書(第8条第2項の規定により改訂されたものを含む。)
3) 症例報告書の見本
4) 説明文書
5) 治験責任医師及び治験分担医師(以下「治験責任医師等」という。)となるべき者の氏名を記載した文書
6) 治験の費用の負担について説明した文書
7) 被験者の健康被害の補償について説明した文書
2 治験の依頼をしようとする者は、前項の規定による文書の提出に代えて、第5項で定めるところにより、当該実施医療機関の長の承諾を得て、前項各号に掲げる文書に記載すべき事項を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に掲げるもの(以下「電磁的方法」という。)により提出することができる。この場合において、当該治験の依頼をしようとする者は、当該文書を提出したものとみなす。
1) 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
イ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と実施医療機関の長の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、受信者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項各号に掲げる事項を電気通信回線を通じて実施医療機関の長の閲覧に供し、当該実施医療機関の長の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに同項各号に掲げる事項を記録する方法(電磁的方法による文書の提出を受ける旨の承諾又は受けない旨の申出をする場合にあっては、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
2) 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項各号に掲げる事項を記録したものを交付する方法
3 前項に掲げる方法は、実施医療機関の長がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものでなければならない。
4 第2項第1号の「電子情報処理組織」とは、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と、実施医療機関の長の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
5 治験の依頼をしようとする者は、第2項の規定により第1項各号に掲げる文書を提出しようとするときは、あらかじめ、当該実施医療機関の長に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
1) 第2項各号に規定する方法のうち治験の依頼をしようとする者が使用するもの
2) ファイルへの記録の方式
6 前項の規定による承諾を得た治験の依頼をしようとする者は、当該実施医療機関の長から書面又は電磁的方法により電磁的方法による通知を受けない旨の申出があったときは、当該実施医療機関の長に対し、第1項各号に掲げる文書の提出を電磁的方法によってしてはならない。ただし、当該実施医療機関の長が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。

1 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼にあたっては、あらかじめ医療機関の長に以下の最新の文書を提出しなければならない。
1) 治験実施計画書
2) 治験薬概要書
3) 症例報告書の見本
4) 説明文書
5) 治験責任医師となるべき者がその要件を満たすことを証明した履歴書及びその他の文書並びに治験分担医師となるべき者の履歴書
6) 予定される治験費用に関する資料(被験者への支払い(支払いがある場合)に関する資料を含む)
7) 被験者の健康被害に対する補償に関する資料
8) その他の必要な資料
2 説明文書と同意文書は一体化した文書又は一式の文書として取り扱うこと(第2条の解説10の1)のウ)を参照)。
注) 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者でなければならない。また、治験責任医師となるべき者は、このことを証明する最新の履歴書及びその他の適切な文書、及び治験分担医師を置く場合には当該治験分担医師となるべき者の履歴書を、治験の依頼をしようとする者に提出するものとする(第6条及び第42条参照)。


(治験薬の事前交付の禁止)
第11条 治験の依頼をしようとする者は、治験の契約が締結される前に、実施医療機関に対して治験薬を交付してはならない。

1 治験の依頼をしようとする者は、実施医療機関との間で治験の契約が締結されるまでは、実施医療機関に治験薬を交付してはならない。


(業務の委託)
第12条 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管理に係る業務の一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該受託者との契約を締結しなければならない。
1) 当該委託に係る業務の範囲
2) 当該委託に係る業務の手順に関する事項
3) 前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨
4) 当該受託者に対する指示に関する事項
5) 前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを治験の依頼をしようとする者が確認することができる旨
6) 当該受託者が治験の依頼をしようとする者に対して行う報告に関する事項
7) 当該委託する業務に係る第14条に規定する措置に関する事項
8) その他当該委託に係る業務について必要な事項
2 治験の依頼をしようとする者は、前項の規定による文書による契約の締結に代えて、第5項で定めるところにより、前項の受託者の承諾を得て、前項各号に掲げる事項を内容とする契約を電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって次に掲げるもの(以下この条において「電磁的方法」という。)により締結することができる。この場合において、当該治験の依頼をしようとする者は、当該文書による契約を締結したものとみなす。
1) 電子情報処理組織を使用する方法のうちイ又はロに掲げるもの
イ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と受託者の使用に係る電子計算機とを接続する電気通信回線を通じて送信し、それぞれの使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録する方法
ロ 治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに記録された前項各号に掲げる事項を電気通信回線を通じて受託者の閲覧に供し、当該受託者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルに同項各号に掲げる事項を記録する方法(電磁的方法による契約の締結を行う旨の承諾又は行わない旨の申出をする場合にあっては、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機に備えられたファイルにその旨を記録する方法)
2) 磁気ディスク、シー・ディー・ロムその他これらに準ずる方法により一定の事項を確実に記録しておくことができる物をもって調製するファイルに前項各号に掲げる事項を記録したものを交付する方法
3 前項に掲げる方法は、次に掲げる技術的基準に適合するものでなければならない。
1) 治験の依頼をしようとする者及び受託者がファイルへの記録を出力することによる書面を作成することができるものであること。
2) ファイルに記録された文書に記載すべき事項について、改変が行われていないかどうかを確認することができる措置を講じていること。
4 第2項第1号の「電子情報処理組織」とは、治験の依頼をしようとする者の使用に係る電子計算機と、受託者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織をいう。
5 治験の依頼をしようとする者は、第2項の規定により第1項各号に掲げる事項を内容とする契約を締結しようとするときは、あらかじめ、当該受託者に対し、その用いる次に掲げる電磁的方法の種類及び内容を示し、書面又は電磁的方法による承諾を得なければならない。
1) 第2項各号に規定する方法のうち治験の依頼をしようとする者が使用するもの
2) ファイルへの記録の方式
6 前項の規定による承諾を得た治験の依頼をしようとする者は、受託者から書面又は電磁的方法により電磁的方法による契約を締結しない旨の申出があったときは、受託者に対し、第1項各号に掲げる事項を内容とする契約の締結を電磁的方法によってしてはならない。ただし、受託者が再び前項の規定による承諾をした場合は、この限りでない。

1 治験の依頼をしようとする者は、治験の依頼及び管理に係る業務の一部を委託することができる(当該受託者は開発業務受託機関とも呼ばれる。)。この場合において、治験の依頼をしようとする者と当該受託者たる開発業務受託機関は文書により、委託業務の範囲、委託業務の手順に関する事項、治験の依頼をしようとする者が手順に基づき委託業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを確認することができる旨等について記載した文書により契約を締結しなければならない。
2 開発業務受託機関は、治験依頼者とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施しなければならない(第14条参照)。
3 治験依頼者が開発業務受託機関に委託した治験に関連する業務については、開発業務受託機関との間で取り交わした文書に全て明記されていなければならない。
4 治験に関連する業務のうち、開発業務受託機関に明確に委託されていないものは、全て治験依頼者が行うものとする。
5 受託者たる開発業務受託機関は、当該受託業務を本基準に従って行わなければならない。
6 治験の依頼をしようとする者(治験依頼者)は、治験の依頼及び管理に関する業務を適切な範囲において開発業務受託機関に委託することができるが、治験データの品質と完全性に関する最終責任は常に治験依頼者が負わなければならない。開発業務受託機関は品質保証及び品質管理を履行するものとする。


(治験の契約)
第13条 治験の依頼をしようとする者及び実施医療機関(前条の規定により業務の一部を委託する場合にあっては、治験の依頼をしようとする者、受託者及び実施医療機関)は、次に掲げる事項について記載した文書により治験の契約を締結しなければならない。
1) 契約を締結した年月日
2) 治験の依頼をしようとする者の氏名及び住所
3) 前条の規定により業務の一部を委託する場合にあっては、受託者の氏名、住所及び当該委託した業務の範囲
4) 実施医療機関の名称及び所在地
5) 契約担当者の氏名及び職名
6) 治験責任医師等の氏名及び職名
7) 治験の期間
8) 目標とする被験者数
9) 治験薬の管理に関する事項
10) 記録(データを含む。)の保存に関する事項
11) この省令の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項
12) 被験者の秘密の保全に関する事項
13) 治験の費用に関する事項
14) 実施医療機関が治験実施計画書を遵守して治験を行う旨
15) 実施医療機関が治験依頼者の求めに応じて第41条第2項各号に掲げる記録(文書を含む。)を閲覧に供する旨
16) 実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨
17) 被験者の健康被害の補償に関する事項
18) その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項
2 前項の文書による契約については、第12条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「前項の受託者」とあるのは、「実施医療機関(前条の規定により業務の一部を委託する場合にあっては、実施医療機関の長及び受託者)(以下「実施医療機関等という。)」と、「受託者」とあるのは「実施医療機関等」と読み替えるものとする。

1 治験の契約は、実施医療機関の長が治験審査委員会の意見に基づいて治験の実施を了承した後に、治験の依頼をしようとする者と実施医療機関の間で文書により行うものとする。なお、治験責任医師も、契約内容の確認のため契約書又はその写しに記名捺印又は署名するものとする。
2 第12条の規定により治験の依頼をしようとする者が業務の一部を委託する場合には、治験の依頼をしようとする者、受託者たる開発業務受託機関及び実施医療機関の三者の間で文書により契約を締結すること。
3 契約書には、次に掲げる事項が含まれていなければならない。
1) 契約を締結した年月日
2) 治験の依頼をしようとする者(契約書には治験依頼者と記載して差し支えない。)の氏名及び住所(法人にあっては名称及び主たる事業所の所在地)
3) 開発業務受託機関に業務を委託する場合には、開発業務受託機関の氏名及び住所(法人にあっては名称及び主たる事業所の所在地)並びに委託する業務の内容
4) 実施医療機関の名称、所在地
5) 契約者の氏名及び職名
6) 治験責任医師及び治験分担医師(複数の場合には全員)の氏名及び職名
7) 治験期間
8) 目標とする被験者数
9) 治験薬の管理に関する事項(実施医療機関の長の指名した治験薬管理者等が第16条第6項及び第7項の規定により提供された手順書又は文書に従って治験薬を適切に管理する旨を含む。)
10) 記録(データを含む。)の保存に関する事項(実施医療機関は、保存すべき必須文書を、治験依頼者によって保存の必要がなくなった旨の通知がなされるまで保存すること。なお、実施医療機関の長又は治験審査委員会の設置者が記録を保存すべき期間については、各々第41条及び第34条を参照のこと。また、治験依頼者がこれらの規定よりも長期間の保存を必要とする場合には、両者が協議するものであること。)
11) 本基準の規定により治験依頼者及び実施医療機関に従事する者が行う通知に関する事項
12) 被験者の秘密の保全に関する事項
13) 治験の費用に関する事項(治験に係る金銭の支払いについては、治験依頼者と医療機関との間で、文書で取り決めておかなければならない。)
14) 実施医療機関が本基準及び治験実施計画書を遵守して治験を行う旨
15) 治験依頼者が行うモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れること。また、治験依頼者のモニター及び監査担当者並びに治験審査委員会及び規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供すること。
16) 実施医療機関が本基準、治験実施計画書又は当該契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、治験依頼者が治験の契約を解除できる旨(第24条第1項参照)
17) 治験に関連して健康被害が発生した場合の補償に関する事項
18) その他治験が適正かつ円滑に行われることを確保するために必要な事項
ア) 治験課題名
イ) 治験内容
ウ) 治験依頼者が提供したデータの記録及び報告の手続きに関する事項
エ) その他必要な事項(治験依頼者に帰属する情報の秘密の保全に関する事項等)
4 第9号の「治験薬の管理に関する事項」とは、実施医療機関の長の指名した治験薬管理者が、第16条第6項及び第7項の規定により提供された手順書又は文書に従って治験薬を適切に管理する旨を含むものである。
5 第11号の趣旨は、本省令中に規定する第20条第2項、第24条第2項、第24条第3項、第32条第4項、第40条第3項、第40条第4項及び第48条第2項に規定する通知が、適切な時期に適切な方法で行われなければならない旨である。
6 第12号「被験者の秘密の保全に関する事項」とは、法第80条の2第10項の規定により、治験依頼者又はその役員若しくは職員が、モニタリング、監査の際に得た被験者の秘密を漏らしてはならない旨、及び、これらの地位にあった者についても同様である旨を含むものである。
7 第15号は、実施医療機関がモニター又は監査担当者に対して第41条第2項各号に掲げる記録を直接閲覧させる旨である。
8 本条の規定により契約を締結した受託者(開発受託機関)は、法第14条第5項後段及び法第80条の2第7項の規定によるGCP調査等の対象となる。
9 治験依頼者は、実施医療機関の長、治験責任医師及びその他治験に関与する全ての者との合意を、実施医療機関との治験契約書及び治験実施計画書の一部又は別個の合意文書として文書化し保存しておかなければならない。
10 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを、実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記しなければならない。
11 治験依頼者は、治験に関連する全ての施設及び原資料等の全ての治験関連記録を、治験依頼者によるモニタリング及び監査、並びに規制当局による調査のための直接閲覧が可能であるように全ての関係者との合意を治験が開始される前に得ておくものとする。
注) 第32条第6項の規定により、実施医療機関の長は、実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会の意見を治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者に文書により通知しなければならないこととなっている。
治験依頼者としても、次の点について治験の契約を締結する前に対応する必要がある。
(a) 治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から次の文書を入手しなければならない。
1) 当該治験審査委員会の名称と所在地が記された文書
2) 当該治験審査委員会が本基準に従って組織され、活動している旨を当該治験審査委員会が自ら確認した文書
3) 当該治験審査委員会の日付入り承認文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書、並びに治験を依頼しようとする者が変更の有無等の確認のために必要とする場合には、審査に用いられた治験実施計画書、症例報告書の見本等の文書
(b) 治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験実施計画書、症例報告書、説明文書並びにその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認した場合には、実施医療機関との間で治験の契約を締結する前に、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会の修正条件を記した日付入り承認文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。(a)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
(c) 治験を依頼しようとする者は、治験審査委員会が治験の実施を却下した場合には、実施医療機関の長から、当該治験審査委員会の日付入り決定の文書の写し及びこれに基づく実施医療機関の長の決定の文書を入手しなければならない。(a)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
(d) 治験依頼者は、実施医療機関の長から、実施中の治験に関する全ての継続審査等による治験審査委員会の日付入り承認文書の写し、修正条件を記した日付入り承認文書の日付入り承認文書の写し、又は既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む。)に関する日付入り文書の写し、及びこれらに基づく実施医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。(a)に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。


(被験者に対する補償措置)
第14条 治験の依頼をしようとする者は、あらかじめ、治験に係る被験者に生じた健康被害(受託者の業務により生じたものを含む。)の補償のために、保険その他の必要な措置を講じておかなければならない。

1 治験の依頼をしようとする者は、治験に関連して被験者に生じた健康被害(治験に係る業務の一部を委託した場合における当該委託業務により生じた健康被害を含む。)の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定めるとともに、その履行を確保するために、保険その他の措置を講じておかなければならない。
2 本条は上記1を受けたものであり、( )書きの「受託者」は第12条の受託者、いわゆる開発業務受託機関を指す。
注1) 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない(第1条の解説参照)。
注2) 開発業務受託機関は、治験依頼者とともに、当該受託業務により生じた健康被害の治療に要する費用その他の損失を補償するための手順を定め、当該手順書に従って健康被害の補償に関する業務を実施しなければならない(第12条参照)。


(治験国内管理人)
第15条 本邦内に住所を有しない治験の依頼をしようとする者は、治験薬による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるため、治験の依頼をしようとする者に代わって治験の依頼を行うことができる者を、本邦内に住所を有する者(外国法人で本邦内に事務所を有するものの当該事務所の代表者を含む。)のうちから選任し、この者(以下「治験国内管理人」という。)に治験の依頼に係る手続を行わせなければならない。


改正「省令GCP」のトップページ 第一章 総則〜第二章 治験の準備 第三章 治験の管理に関する基準 第四章 治験を行う基準


上に戻る




「ホーライ製薬」へ

「医薬品ができるまで」へ

inserted by FC2 system