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改正「省令GCP」のトップページ 第一章 総則〜第二章 治験の準備 第三章 治験の管理に関する基準 第四章 治験を行う基準

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改正「省令GCP」の運用通知(運用GCP)
その1
第三章 治験の管理に関する基準
(「自ら治験を実施しようとする者」のは削除しています。)



3.第三章 治験の管理に関する基準

3―1 第一節 治験依頼者による治験の管理に関する基準

(治験薬の管理)
第16条 治験依頼者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。
1) 治験用である旨
2) 治験依頼者の氏名及び住所(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)
3) 化学名又は識別記号
4) 製造番号又は製造記号
5) 貯蔵方法、有効期間等を定める必要があるものについては、その内容
2 治験依頼者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)には、次に掲げる事項を記載してはならない。
1) 予定される販売名
2) 予定される効能又は効果
3) 予定される用法又は用量
3 治験依頼者は、被験者、治験責任医師等及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で実施医療機関に交付した治験薬について、緊急時に、治験責任医師等が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。
4 治験依頼者は、輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため治験薬を包装して実施医療機関に交付しなければならない。
5 治験依頼者は、治験薬に関する次に掲げる記録を作成しなければならない。
1) 治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録
2) 実施医療機関ごとの治験薬の交付又は回収の数量及び年月日の記録
3) 治験薬の処分の記録
6 治験依頼者は、治験の契約の締結後遅滞なく、実施医療機関における治験薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。
7 治験依頼者は、必要に応じ、治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを治験責任医師等、治験協力者及び第39条第1項に規定する治験薬管理者に交付しなければならない。
8 第6項に規定する手順書の交付については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは、「治験依頼者」と読み替えるものとする。
9 第7項に規定する文書の交付については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「治験依頼者」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験責任医師等、治験協力者及び第39条第1項に規定する治験薬管理者」と読み替えるものとする。

<第1項>
1 治験依頼者は、治験薬又はその容器若しくは被包に、次に掲げる事項を記載しなければならない。
1) 治験用である旨
2) 治験依頼者の氏名及び住所
3) 化学名又は識別記号
4) 製造番号又は製造記号
5) 貯蔵方法、有効期間等を定める必要のあるものについては、その内容
<第2項>
1 治験依頼者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)に、次に掲げる事項を記載してはならない。
1) 予定される販売名
2) 予定される効能又は効果
3) 予定される用法又は用量
<第3項>
1 治験依頼者は、盲検下の治験では、治験薬のコード化及び包装に際して、医療上の緊急時に当該治験薬がどの薬剤であるかを直ちに識別できるようにし、かつ盲検性が破られたことを検知できるようにしておかなければならない。
<第4項>
1 治験薬の包装形態は、輸送及び保存中に汚染や許容範囲外の劣化を防止し、使用の便宜を考慮したものでなければならない。
<第5項>
1 治験依頼者は、治験薬の製造に関する記録、安定性等の品質に関する試験の記録、治験薬の交付・回収の記録及び治験薬の処分の記録を作成しなければならない。治験薬の製造に関する記録には、治験薬GMPに定めれられた記録を含むこと。
2 治験依頼者は、治験薬が使用期間中安定であることを保証しなければならない。
3 治験依頼者は、必要な場合には、治験薬がその規格を満たしていることを再確認できるだけの十分な量のロットサンプルを確保し、経時的にロットサンプルを分析した記録を作成、保存しなければならない。安定性が確保される限りは、ロットサンプルを治験データの解析が終わるまでの期間保存しなければならない。
4 治験依頼者は、治験薬の適正な取扱いを保証するため、次の事項を行うものとする。
1) 適切な時期に治験薬が実施医療機関に交付されるようにすること。
2) 治験薬の出荷、受領、処分、返却及び廃棄の記録を保存すること。
3) 治験薬の回収及びその記録作成のためのシステムを保持すること(例:欠陥品の回収、治験終了後の回収、使用期限切れの治験薬の回収)。
4) 未使用の治験薬の処分及びその記録作成のためのシステムを保持すること。
<第6項>
1 治験依頼者は、実施医療機関の長又は実施医療機関の治験薬管理者が治験薬の取扱い及び保管、管理並びにそれらの記録に際して従うべき指示を記載した手順書を定め、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。当該手順書には、治験薬の受領、取扱い、保管、管理、処方並びに未使用治験薬の被験者からの返却及び治験依頼者への返却又はその他の処分が、適切で確実に行われるために必要な指示が記載されていなければならない。なお、当該手順書は、予め実施医療機関の長の承諾を得て治験薬管理者に直接交付することは差し支えない。
<第7項>
1 治験依頼者は、治験薬の許容される保存条件、使用期限、溶解液及び溶解方法並びに注入器具等取扱い方法を説明した文書を作成し、これを治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験薬管理者等(モニターを含む。)に交付しなければならない。


(治験薬の交付)
第17条 治験依頼者は、治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を実施医療機関に交付しなければならない。
2 治験依頼者は、治験薬を医薬品の販売業者その他の第三者を介在させることなく、直接実施医療機関に交付しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りではない。

<第1項>
1 「治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所」とは、治験薬GMPに定められた内容に適合する製造所をいう。
2 治験依頼者は、実施医療機関に対し治験薬を交付する責任を有する。
3 治験依頼者は、治験薬(実対照薬及びプラセボを含む。)が被験薬の開発段階に応じた適切な特徴を有し、治験薬GMPに従って製造され、該当する場合には、盲検性が維持されるような方法でコード化され、表示されていることを保証しなければならない。
<第2項>
1 治験依頼者は、原則として、治験薬を医薬品の販売業者その他の第三者を介在させることなく直接実施医療機関に交付しなければならないが、治験依頼者の委託を受け、第12条に基づく業務の受託、第13条に基づく治験の契約をしている開発業務受託機関は実施医療機関に交付できる。
2 「やむを得ない事由」とは、例えば、当該治験の内容上、治験薬を実施医療機関に緊急に交付する必要があり、かつ、その手段として運送業者等の第三者を用いざるを得ないこと等があげられる。


(多施設共同治験)
第18条 治験依頼者は、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をした場合には、当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を医師若しくは歯科医師(以下「治験調整医師」という。)又は複数の医師若しくは歯科医師で構成される委員会(以下「治験調整委員会」という。)に委嘱することができる。
2 前項の規定により治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合には、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した文書を作成しなければならない。

<第1項>
1 治験依頼者は、多施設共同治験においては、治験調整医師を選定し又は治験調整委員会を設置することができる。
2 第1項の治験調整医師に委嘱される業務とは、例えば、治験実施計画書の内容の細目についての多施設間の調整や治験中に生じた治験実施計画書の解釈上の疑義の調整等、多施設共同治験における実施医療機関の調整に係る業務である。
3 治験調整医師は、当該治験の分野において十分な経験を有し、多施設間の調整を適切に行いうる者であること。治験責任医師の中から選定されることが考えられるが、必ずしも治験責任医師に限らないこと。
<第2項>
1 治験依頼者は、多施設共同治験に当たって次のことを保証しなければならない。
1) 全ての治験責任医師が、治験依頼者と合意し、治験審査委員会の意見に基づき各実施医療機関の長が承認した治験実施計画書を厳密に遵守して治験を実施していること。
2) 症例報告書が全施設において必要なデータが収集できるようにデザインされていること。追加的データを収集する治験責任医師にはそれを記載するために設計された補足的な症例報告書が併せて提出されなければならないこと。
3) 治験調整医師(治験調整医師を選定した場合)、治験調整委員会(治験調整委員会を設置した場合)及び治験責任医師の責務が治験開始前に文書で定められていること。
4) 全ての治験責任医師に対し、治験実施計画書の遵守方法、臨床上及び検査上の所見の評価に関する統一基準の遵守方法並びに症例報告書の記入方法が説明されていること。
5) 治験責任医師の間の連絡が容易であること。


(効果安全性評価委員会の設置)
第19条 治験依頼者は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。
2 治験依頼者は、前項の効果安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し、これに従って審議を行わせなければならない。
3 治験依頼者は、前項の審議を行ったときは、その審議の記録を作成し、これを保存しなければならない。

<第1項>
1 「効果安全性評価委員会」は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者に治験の継続、変更又は中止を提言することを目的として、治験依頼者が設置することができる治験依頼者、治験責任医師及び治験調整医師から独立した委員会であり、「独立データモニタリング委員会」とも呼ばれる。
<第2項>
1 治験依頼者は、効果安全性評価委員会と協議の上、審議に関する手順書を作成するものとする。
2 審議に関する手順書は、治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適切な間隔で適切に評価できるよう手順を定め、治験依頼者に治験の継続、変更、及び中止又は中断等の提言が適切に行われることを確保するためのものである。
<第3項>
1 治験依頼者は、効果安全性評価委員会の了承のもとに、全ての審議及び会合の記録を作成するものとし、治験依頼者がその記録を保存しなければならない。


(副作用情報等)
第20条 治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し、及び検討するとともに、実施医療機関の長に対し、これを提供しなければならない。
2 治験依頼者は、被験薬について法第80条の2第6項に規定する事項を知ったときは、直ちにその旨を治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。
3 治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。この場合において、治験実施計画書の改訂について治験責任医師の同意を得なければならない。

<第1項>
1 治験依頼者は、治験薬の安全性を継続的に評価する責任を有する。
2 治験依頼者は、被験者の安全に悪影響を及ぼし、治験の実施に影響を与え、又は治験継続に関する治験審査委員会の承認を変更する可能性のある情報を、治験に関与する全ての治験責任医師、実施医療機関の長に速やかに通知しなければならない。
<第2項>
1 治験依頼者は、法第80条の2第6項に基づき、薬事法施行規則第273条第1項に規定する重篤で予測できない副作用等を知ったときは、当該治験に関与する全ての治験責任医師、実施医療機関の長及び規制当局に速やかに通知しなければならない。
2 通知するに当たっては「治験中に得られる安全性情報の取り扱いについて」(平成7年3月20日付薬審第227号)、「個別症例安全性報告を伝送するためのデータ項目及びメッセージ仕様について」(平成13年3月30日付医薬安発第39号・医薬審発第334号)、「独立行政法人医薬品医療機器総合機構に対する治験副作用等報告について」(平成16年3月30日付薬食発第0330001号)、「市販後副作用等報告及び治験副作用等報告について」(平成18年3月31日付薬食審査発第0331022号・薬食安発第0331009号)、「治験副作用等報告に関する報告上の留意点等について」(平成18年4月26日付薬食審査発第0426001号)等を参照のこと(通知すべき副作用等の範囲及び取扱いについては薬事法施行規則第273条第1項の定めによること。)。
(参考)
○法第80条の2第6項(抜粋)
治験の依頼をした者又は自ら治験を実施した者は、当該治験の対象とされる薬物又は器具機械等について、当該薬物又は器具機械等の副作用によるものと疑われる疾病、障害又は死亡の発生、当該薬物又は器具機械等の使用によるものと疑われる感染症の発生その他の治験の対象とされる薬物又は器具機械等の有効性及び安全性に関する事項で厚生労働省令で定めるものを知ったときは、その旨を厚生労働省令で定めるところにより厚生労働大臣に報告しなければならない。この場合において、厚生労働大臣は、当該報告に係る情報の整理又は当該報告に関する調査を行うものとする。
○薬事法施行規則第273条第1項
治験の依頼をした者又は自ら治験を実施した者は、被験薬について次の各号に掲げる事項を知ったときは、それぞれ当該各号に定める期間内にその旨を厚生労働大臣に報告しなければならない。
1) 次に掲げる症例等の発生のうち、当該被験薬又は外国で使用されている物であって当該被験薬と成分が同一性を有すると認められるもの(以下この条において「当該被験薬等」という。)の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるものであり、かつ、そのような症例等の発生又は発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が当該被験薬の治験薬概要書(当該被験薬の品質、有効性及び安全性に関する情報等を記載した文書をいう。以下この条において同じ。)から予測できないもの 7日
イ 死亡
ロ 死亡につながるおそれのある症例
2) 次に掲げる事項(前号に掲げるものを除く。) 15日
イ 次に掲げる症例等の発生のうち、当該被験薬等の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるものであり、かつ、そのような症例等の発生又は発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が当該被験薬の治験薬概要書から予測できないもの
1 治療のために病院又は診療所への入院又は入院期間の延長が必要とされる症例
2 障害
3 障害につながるおそれのある症例
4 1から3まで並びに前号イ及びロに掲げる症例に準じて重篤である症例
5 後世代における先天性の疾病又は異常
ロ 前号イ又はロに掲げる症例等の発生のうち、当該被験薬等の副作用によるものと疑われるもの又はそれらの使用によるものと疑われる感染症によるもの
ハ 外国で使用されている物であって被験薬と成分が同一性を有すると認められるものに係る製造、輸入又は販売の中止、回収、廃棄その他保健衛生上の危害の発生又は拡大を防止するための措置の実施
ニ 当該被験薬等の副作用若しくはそれらの使用による感染症によりがんその他の重大な疾病、障害若しくは死亡が発生するおそれがあること、当該被験薬等の副作用によるものと疑われる疾病等若しくはそれらの使用によるものと疑われる感染症の発生数、発生頻度、発生条件等の発生傾向が著しく変化したこと又は当該被験薬等が治験の対象となる疾患に対して効能若しくは効果を有しないことを示す研究報告
<第3項>
1 治験依頼者は必要に応じ治験実施計画書及び症例報告書の見本の改訂を行うこと。なお、治験依頼者がこれらを改訂する場合には、第7条第5項の規定を参照のこと。
2 治験依頼者は、新たな情報が得られた場合等には、手順書に従って、治験薬概要書を改訂しなければならない。なお、新たな重要な情報が得られた場合には、治験薬概要書の改訂に先立って、治験責任医師、治験実施医療機関の長及び規制当局にこれらの情報を報告するものとする(第8条第2項参照)。


(モニタリングの実施)
第21条 治験依頼者は、モニタリングに関する手順書を作成し、当該手順書に従ってモニタリングを実施しなければならない。
2 前項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行わなければならない。ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。

<第1項>
1 治験依頼者は、被験者の人権、安全及び福祉が保護されていること、治験が最新の治験実施計画書及び本基準を遵守して実施されていること、治験責任医師又は治験分担医師から報告された治験データ等が正確かつ完全で原資料等の治験関連記録に照らして検証できることを確認するため、モニタリングを実施しなければならない。
2 治験依頼者は、適切な訓練を受け、治験を十分にモニタリングするのに必要な科学的及び臨床的知識を有するモニターを指名しなければならない。また、モニターの要件は、モニタリングに関する手順書に記載されていなければならない。
3 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記しなければならない。
4 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の原医療記録が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認しなければならない。
5 治験依頼者は、モニターが実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設を訪問し、原資料を直接閲覧すること等により治験が適切にモニタリングされていることを保証しなければならない。また、治験の目的、デザイン、複雑さ、盲検性、被験者に対する危険性のレベル、規模及びエンドポイント等を考慮してモニタリングの適切な範囲及び方法を決定するものとする。
6 モニターは、治験薬、治験実施計画書、説明・同意文書、治験依頼者の手順書及び本基準を熟知し、これに従わなければならない。
7 モニターは、治験依頼者が確定した手順書及び当該治験のモニタリングに関して治験依頼者が特に定める手順に従わなければならない。
8 モニターは、次の事項が当該治験及び当該治験の実施に係る施設に関して適切でかつ必要である場合には、治験依頼者の要求に従ってそれらを行うことにより、治験が適正に実施され、必要な事項が正確に記録されていることを保証しなければならない。
1) 治験依頼者と治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設との間の情報交換の主役を務めること。
2) 実施医療機関及び治験責任医師が治験を適切に実施するのに求められる要件を満たし、それが治験期間を通して維持されていること、また検査室や必要な装置及びスタッフを含む設備が、治験を安全かつ適正に実施するのに十分であり、それが治験期間を通して継続されていることを確認すること。
3) 治験薬に関し下記の点を確認すること。
i) 保存期間、保存条件が許容できるものであり、治験期間を通して十分な量が交付されていること。
ii) 治験薬が適格な被験者のみに、治験実施計画書で規定された用量で投与されていること。
iii) 被験者に対し、治験薬の適正な使用、取扱い、保存及び返却に関して必要な指示が与えられていること。
iv) 実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設での治験薬の取扱い及び保管、管理が本基準及び治験依頼者の定めるところに従って適切に行われ、記録されていること。
4) 治験責任医師及び治験分担医師が実施医療機関の長の指示、決定及び承認された治験実施計画書に従って治験を実施していることを確認すること。
5) 各被験者から、治験に参加する前に、治験への参加について自由意思による同意が文書により得られていることを確認すること。
6) 治験責任医師が治験を適正に実施し、本基準を遵守するのに必要な治験薬概要書の最新版等全ての文書及びその他の供給物を受領していることを確認すること。
7) 実施医療機関の長、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験について十分情報を得ていることを確認すること。
8) 治験責任医師、治験分担医師、治験協力者及び治験薬管理者等が治験実施計画書並びに治験依頼者と実施医療機関及び治験責任医師との間のその他の合意文書に基づいて治験における各々の役割を果たしており、このような役割を事前に取り決められた者以外に委任していないことを確認すること。
9) 治験責任医師及び治験分担医師が適格な被験者のみを治験に組み入れていることを確認すること。
10) 被験者の登録状況を確認し、治験依頼者に報告すること。
11) 正確かつ完全で、最新に至る原資料等の全ての治験関連記録が作成、保存されていることを確認すること。
12) 実施医療機関の長及び治験責任医師又は治験分担医師が本基準で要求される全ての報告、通知及び提出を行い、それらの文書が正確、完全で、適切な時期に行われ、読みやすく、日付が記載されており、該当する治験を識別できることを確認すること。
13) 症例報告書の内容と原資料等の治験関連記録類を相互に照合し、これらが正確であることを確認すること。その際、モニターは特に次の点を確認すること。
i) 治験実施計画書が要求するデータが症例報告書に正確に記載され、それらが原資料と一致していること。
ii) 用量又は治療法の変更があった場合には、その全てが各々の被験者について記録されていること。
iii) 有害事象、併用療法及び併発症が治験実施計画書に従って症例報告書に記載されていること。
iv) 被験者が規定どおりに来院しなかった日、実施されなかった試験及び検査が症例報告書に明確に記載されていること。
v) 登録された被験者の全ての中止例、脱落例が症例報告書に記載され、その理由等が説明されていること。
14) 治験責任医師に、症例報告書の記載ミス、記載漏れ又は判読不能事項を全て知らせること。また、適切な修正、追記又は削除がなされ、日付が記入され、それらが重大な場合にはその理由等が説明されており、かつ治験責任医師又は症例報告書を作成した治験分担医師によって、捺印又は署名されていることを確認すること。
15) 全ての有害事象が、治験実施計画書、治験審査委員会、治験依頼者及び本基準によって要求されている期間内に適切に報告されていることを確認すること。
16) 実施医療機関において保存すべき必須文書をそれぞれの保存責任者が保存していることを確認すること。
<第2項>
1 モニタリングは、治験開始前、実施中及び終了後に治験責任医師、実施医療機関及び治験に係るその他の施設において実地に行う必要がある。
2 「他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合」とは、例えば、治験の方法(評価項目等を含む。)が簡単であり、参加実施医療機関の数及び地域的分布が大規模であるなどのために医療機関等への訪問によるモニタリングが困難である治験において、治験責任医師等又は治験協力者等の会合及びそれらの人々に対する訓練や詳細な手順書の提供、統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出と検証、治験責任医師等との電話、ファックス等による交信等の手段を併用することにより、治験の実施状況を調査し、把握することが可能かつ妥当である例外的な場合である。この例外的なモニタリングの方法は「中央モニタリング」と呼ばれる。


(モニターの責務)
第22条 モニタリングに従事する者(以下「モニター」という。)は、モニタリングの結果、実施医療機関における治験がこの省令又は治験実施計画書に従って行われていないことを確認した場合には、その旨を直ちに当該実施医療機関の治験責任医師に告げなければならない。
2 モニターは、モニタリングの実施の際、実施医療機関において実地に行い、又はこれと連絡を取ったときは、その都度次に掲げる事項を記載したモニタリング報告書を治験依頼者に提出しなければならない。
1) モニタリングを行った日時
2) モニタリングの対象となった実施医療機関
3) モニターの氏名
4) モニタリングの際に説明等を聴取した治験責任医師等の氏名
5) モニタリングの結果の概要
6) 前項の規定により治験責任医師に告げた事項
7) 前号に規定する事項について講じられるべき措置及び当該措置に関するモニターの所見

<第1項>
1 モニターは、モニタリングの結果、本基準、治験実施計画書及び手順書からの逸脱事項を確認した場合には、治験責任医師及び必要に応じて実施医療機関の長に直ちに伝えること。また、そのような逸脱の再発を防止するための適切な措置を講ずること。
<第2項>
1 モニターは、実施医療機関及び治験に係るその他の施設への訪問又は治験に関連した連絡を行う度に、治験依頼者にモニタリング報告書を提出しなければならない。
2 モニタリング報告書には、日時、場所(実施医療機関名)、モニターの氏名、治験責任医師又はその他の接触した相手の氏名、モニターが点検した内容の要約及び重要な発見事項あるいは事実、逸脱及び欠陥、結論、治験責任医師等に告げた事項並びに講じられた若しくは講じられる予定の措置及び本基準等の遵守を確保するために推奨される措置に関するモニターの見解等が記載されていなければならない。
3 治験依頼者は、モニタリング報告書に関して行った点検とフォローアップについて、治験依頼者が指名する者に文書化させなければならない。
(監査)
第23条 治験依頼者は、監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し、当該計画書及び手順書に従って監査を実施しなければならない。
2 監査に従事する者(以下「監査担当者」という。)は、医薬品の開発に係る部門及びモニタリングを担当する部門に属してはならない。
3 監査担当者は、監査を実施した場合には、監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、これを治験依頼者に提出しなければならない。

<第1項>
1 監査の目的は、治験の品質保証のために、治験が本基準、治験実施計画書及び手順書を遵守して行われているか否かを通常のモニタリング及び治験の品質管理業務とは独立・分離して評価することにある。
2 治験依頼者は、治験のシステム及び個々の治験に対する監査のそれぞれについて、監査の対象、方法及び頻度並びに監査報告書の様式と内容を記述した監査手順書を作成し、監査が当該手順書及び当該手順書に基づいた監査計画に従って行われることを保証しなければならない。また、監査担当者の要件は当該手順書中に記載されていなければならない。
3 治験のシステムに対する監査は、治験依頼者、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設における治験のシステムが適正に構築され、かつ適切に機能しているか否かを評価するために行うものである。
4 個々の治験に対する監査は、当該治験の規制当局に対する申請上の重要性、被験者数、治験の種類と複雑さ、被験者に対する治験の危険性のレベル及びモニタリング等で見出されたあらゆる問題点を考慮して、治験依頼者、実施医療機関及び治験の実施に係るその他の施設に対する監査の対象及び時期等を決定した上で行うものとする。
5 監査担当者も必要に応じて実施医療機関及び治験に係るその他の施設を訪問し、原資料を直接閲覧することにより治験が適切に実施されていること及びデータの信頼性が十分に保たれていることを確認することが求められる。
6 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に治験責任医師及び実施医療機関が原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供することを実施医療機関との治験の契約書及び治験実施計画書又は他の合意文書に明記しなければならない。
7 治験依頼者は、モニタリング、監査並びに治験審査委員会及び規制当局の調査時に、被験者の原医療記録が直接閲覧されることについて、各被験者が文書により同意していることを確認しなければならない。
<第2項>
1 治験依頼者は、治験の依頼及び治験の実施に直接係る業務とは無関係の者で、教育・訓練と経験により監査を適切に行いうる要件を満たしている者を監査担当者として指名しなければならない。
<第3項>
1 監査担当者は、監査で発見した事項を文書に記載しなければならない。
2 監査担当者は、上記1の監査の記録に基づき監査報告書を作成し、記名捺印又は署名の上、治験依頼者に提出しなければならない。監査報告書には、報告書作成日、被監査部門名、監査の対象、監査実施日、監査結果(必要な場合には改善提案を含む。)及び当該報告書の提出先が記載されていなければならない。
3 監査機能の独立性と価値を保つために、規制当局は、通常の調査の際には監査報告書の閲覧を求めないこととする。ただし、重大なGCP不遵守が認められる場合には、監査報告書の閲覧を求めることができる。上記1の監査の記録についても同様とする。
4 監査担当者は、監査を行った治験について、監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、治験依頼者に提出しなければならない。


(治験の中止等)
第24条 治験依頼者は、実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は治験の契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第46条に規定する場合を除く。)には、当該実施医療機関との治験の契約を解除し、当該実施医療機関における治験を中止しなければならない。
2 治験依頼者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
3 治験依頼者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第14条第3項に規定する申請書に添付しないことを決定した場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
4 第2項及び前項に規定する文書による通知については、第10条第2項から第6項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは、「治験依頼者」と読み替えるものとする。

<第1項>
1 治験依頼者は、モニタリング及び監査によって治験責任医師、実施医療機関又は治験に係るその他の施設による重大又は継続した不遵守が発見された場合には、当該治験責任医師、実施医療機関又は治験に係るその他の施設の治験への参加を打ち切らなければならない。なお、不遵守のため治験責任医師、実施医療機関又は治験に係るその他の施設の参加を打ち切った場合には、治験依頼者は規制当局に速やかに報告するものとする。
2 被験者の緊急の危険を回避するため、その他医療上やむを得ない理由のために治験実施計画書に従わなかった場合(第46条参照)を除く。
<第2項>
1 治験依頼者は、治験を中断し、又は中止する場合には、その旨及びその理由の詳細を治験に関与する全ての実施医療機関の長及び規制当局に速やかに文書で通知しなければならない。
<第3項>
1 治験依頼者は、治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を承認申請書に添付しないこと、すなわち、被験薬の開発(効能・効果、用法・用量又は製剤のいずれかあるいは全てについて)を中止する場合には、その旨とその理由の詳細を治験に関与する全ての実施医療機関の長及び治験に係るその他の施設に速やかに文書で通知しなければならない。

(総括報告書)
第25条 治験依頼者は、治験を終了し、又は中止したときは、総括報告書(治験の結果等を取りまとめた文書をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。

1 治験依頼者は、治験を終了したとき、又は中止したときは、その結果等を取りまとめた総括報告書を手順書に従って作成しなければならない。
2 総括報告書の構成及び内容については、「治験の総括報告書の構成と内容に関するガイドライン」(平成8年5月1日付薬審第335号)に従ったものであること。
3 総括報告書は、規制当局の求めに応じて提出できるよう保存しておかなければならない。
4 総括報告書には、第23条第3項に規定する当該治験に係る監査証明書を添付して保存すること。


(記録の保存等)
第26条 治験依頼者は、次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含む。)を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第24条第3項の規定により通知したときは、通知した日後3年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存しなければならない。
1) 治験実施計画書、契約書、総括報告書その他この省令の規定により治験依頼者が作成した文書又はその写し
2) 症例報告書、第32条第6項の規定により通知された文書その他この省令の規定により実施医療機関の長又は治験責任医師等から入手した記録
3) モニタリング、監査その他の治験の依頼及び管理に係る業務の記録(前2号及び第5号に掲げるものを除く。)
4) 治験を行うことにより得られたデータ
5) 第16条第5項に規定する記録
2 本邦内に住所を有しない治験依頼者は、治験国内管理人に第16条第5項に規定する記録を前項に定める期間保存させなければならない。

<第1項>
1 治験依頼者は、本条の規定により、第1項各号に掲げる治験に関する記録を被験薬に係る医薬品の製造販売承認を受ける日又は治験の中止若しくは終了の後3年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存しなければならない。
また、被験薬に係る医薬品が承認を受けた場合には、薬事法施行規則第101条の規定により、承認を受けた日から5年間(再審査に係るものであって、再審査が終了するまでの期間が承認を受けた日から5年を超えるものにあっては再審査が終了するまでの期間)適切に保存しなければならない。
(参考)薬事法施行規則第101条
(資料の保存)
第101条 承認取得者は、次の各号に掲げる資料を、それぞれ当該各号に掲げる期間保存しなければならない。ただし、資料の性質上その保存が著しく困難であると認められるものにあっては、この限りでない。
1) 法第14条の規定による承認の申請に際して提出した資料の根拠となった資料 承認を受けた日から5年間。ただし、法第14条の4第1項の規定による再審査を受けなければならない医薬品又は医療機器(承認を受けた日から再審査が終了するまでの期間が5年を超えるものに限る。)に係る資料にあっては、再審査が終了するまでの期間
従って、治験依頼者は、次の1)又は2)の日のうちいずれか遅い日までの間保存しなければならない。
1) 当該被験薬に係る製造販売承認日から5年が経過した日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日から3年が経過した日)。ただし、薬事法の規定により承認後の再審査を受けなければならない医薬品で、かつ再審査が終了するまでの期間が5年を超えるものについては、再審査が終了する日。
2) 治験の中止又は終了後3年が経過した日
2 本条の「記録」には、磁気媒体等に記録されたデータを含むこと。データを適切に保存するためには、セキュリティシステムの保持、データのバックアップの実施等が必要である。
3 治験依頼者は、データの処理に当たって、電子データ処理システム(遠隔操作電子データシステムを含む。)を用いる場合には、次の事項を実施しなければならない。
1) 電子データ処理システムが、完全性、正確性、信頼性及び意図された性能についての治験依頼者の要件を満たしていることを保証し、文書化すること(すなわちバリデーションされること。)。
2) 当該システムを使用するための手順書を整備すること。
3) 当該システムが、入力済みのデータを消去することなしに修正が可能で、データ修正の記録をデータ入力者及び修正者が識別されるログとして残せる(すなわち監査証跡、データ入力証跡、修正証跡が残る)ようにデザインされていることを保証すること。
4) データのセキュリティ・システムを保持すること。
5) データのバックアップを適切に行うこと。
6) データの修正を行う権限を与えられた者の名簿を作成し、管理すること。
7) 盲検化が行われている場合には、盲検性が保持されるようにすること。
4 治験依頼者は、処理中にデータの変換を行う場合には、処理前のデータと処理後のデータを常に対比し得ることを保証しなければならない。
5 治験依頼者は、各被験者について報告された全てのデータの識別を可能にする明確な被験者識別コードを用いなければならない。
<第2項>
1 本邦内に住所を有しない治験依頼者は、治験国内管理人に治験薬の製造や安定性等の品質などに関する第16条第5項に規定する記録を保存させなければならない。
2 治験国内管理人は、治験薬による保健衛生上の危害の発生又は拡大の防止に必要な措置を採らせるため、治験の依頼をしようとする者に代わって治験の依頼を行うことのできる者である(第15条参照)趣旨に鑑み、第1項の1)から4)までの記録又はその写しを適切に保存すること。

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