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医薬品の臨床試験の実施の基準(GCP)の内容
(中央薬事審議会答申)
平成9年3月13日
目次
1 目的
2 用語の定義
3 治験の原則
4 治験審査委員会
4−1 治験審査委員会の設置等
4−2 治験審査委員会の責務
4−3 治験審査委員会の構成
4−4 治験審査委員会の運営
4−5 治験審査委員会の運営の手続き
4−6 記録の保存
5 医療機関
5−1 医療機関の要件
5−2 医療機関の長の責務
5−2−1 治験実施の手続き等
5−2−2 治験審査委員会との関係
5−2−3 治験の実施の了承等
5−2−4 治験の継続、中止・中断及び終了等
5−2−5 治験事務局の設置
5−2−6 治験薬の管理
5−2−7 記録の保存
6 治験責任医師
6−1 治験責任医師の要件
6−2 治験責任医師の責務
6−2−1 被験者の選定
6−2−2 被験者の同意の取得
6−2−3 被験者に対する医療
6−2−4 治験実施計画書の合意及びその遵守
6−2−5 治験審査委員会への文書提出
6−2−6 医療機関の長の指示、決定
6−2−7 治験薬の使用等
6−2−8 治験実施計画書からの逸脱等
6−2−9 症例報告書等の記録及び報告
6−2−10 治験中の報告等
6−2−11 治験の中止又は中断
6−2−12 治験の終了
6−2−13 記録の保存
7 被験者の選定とインフォームド・コンセント
7−1 被験者の選定
7−2 インフォームド・コンセント
7−2−1 原則
7−2−2 被験者の同意取得が困難な場合
7−2−3 非治療的治験
7−2−4 緊急状況下における救命的治験
7−2−5 被験者が同意文書等を読めない場合
7−3 被験者に対する説明事項
8 治験依頼者
8−1 治験依頼者の責務
8−1−1 治験の品質保証及び品質管理
8−1−2 体制
8−1−3 治験責任医師及び医療機関の選定等
8−1−4 治験実施計画書の作成等
8−1−5 治験薬概要書の作成等
8−1−6 治験計画の届出
8−1−7 依頼にあたって医療機関へ提出する文書
8−1−8 治験審査委員会による審査結果の確認等
8−1−9 治験薬の製造、包装、表示及びコード化
8−1−10 治験薬の交付及び取扱い
8−1−11 データの取扱い
8−1−12 多施設共同治験
8−1−13 被験者に対する補償
8−1−14 安全性情報
8−1−15 副作用報告
8−1−16 不遵守
8−1−17 開発の中止、治験の中止又は中断並びに製造(輸入)承認
8−1−18 記録の閲覧
8−1−19 治験の総括報告書
8−1−20 モニタリングの目的
8−1−21 モニターの選定及び要件
8−1−22 モニタリングの範囲及び方法
8−1−23 モニタリングの手順
8−1−24 モニタリング報告書
8−1−25 監査の目的
8−1−26 監査担当者の選定及び要件
8−1−27 監査の方法
8−1−28 監査報告書
8−1−29 監査証明書
8−1−30 記録の保存等
8−2 開発業務受託機関
9 治験の契約
10 治験実施計画書
10−1 治験実施体制
10−2 背景情報
10−3 治験の目的
10−4 治験のデザイン
10−5 被験者の選択、除外、中止基準
10−6 被験者に対する治療
10−7 有効性の評価
10−8 安全性の評価
10−9 統計解析
10−10 原資料等の直接閲覧
10−11 治験の品質管理及び品質保証
10−12 倫理
10−13 データの取扱い及び記録の保存
10−14 金銭の支払い及び保険
10−15 公表に関する取り決め
10−16 治験期間
10−17 参考資料
11 治験薬概要書
11−1 目的
11−2 一般的事項
11−3 治験薬概要書の内容
11−3−1 目次
11−3−2 要約
11−3−3 序文
11−3−4 物理的・化学的及び薬剤学的性質並びに製剤組成
11−3−5 薬理、毒性、薬物動態及び薬物代謝
11−3−6 臨床試験成績
11−3−7 データの要約及び治験責任医師に対するガイダンス
(付録)必須文書一覧
本基準は、医薬品の製造(輸入)承認申請の際に提出すべき資料の収集のために行われる臨床試験(以下、「治験」という。)の計画、実施、モニタリング、監査、記録、解析及び報告等に関する遵守事項を定め、被験者の人権、安全及び福祉の保護のもとに、治験の科学的な質と成績の信頼性を確保することを目的とする。
本基準において用いられる主な用語の意義は、次に定めるところによる。
索 引
[ア行] 医療機関 (2-1)
インフォームド・コンセント (2-2)
[カ行] 開発業務受託機関 (2-3)
監査 (2-4)
監査証跡 (2-5)
監査証明書 (2-6)
監査報告書 (2-7)
規制当局 (2-8)
規制当局による調査 (2-9)
原医療記録 (2-10)
原資料 (2-11)
原データ (2-12)
公正な立会人 (2-13)
[サ行] 社会的に弱い立場にある者 (2-14)
症例報告書 (2-16)
[タ行] 対照薬 (2-17)
代諾者 (2-18)
多施設共同治験 (2-19)
治験 (2-20)
治験のシステム (2-29)
治験依頼者 (2-21)
治験審査委員会 (2-23)
治験責任医師 (2-26)
治験分担医師 (2-34)
治験協力者 (2-22)
治験調整医師 (2-28)
治験調整委員会 (2-27)
治験実施計画書 (2-24)
治験実施計画書の改訂 (2-25)
治験の中間報告書 (2-31)
治験の総括報告書 (2-30)
治験薬 (2-35)
治験薬管理者 (2-36)
治験薬概要書 (2-37)
治験の品質管理 (2-32)
治験の品質保証 (2-33)
直接閲覧 (2-39)
同意文書及びその他の説明文書(2-40)
独立データモニタリング委員会(2-41)
[ハ行] 被験者 (2-42)
被験者識別コード (2-43)
被験者の福祉 (2-44)
必須文書 (2-45)
秘密の保全 (2-46)
標準業務手順書 (2-47)
非臨床試験 (2-48)
副作用 (2-49)
副作用(重篤な) (2-15)
副作用(予測できない) (2-55)
[マ行] 無作為化 (2-50)
盲検化(又は遮蔽化) (2-51)
モニタリング (2-52)
モニタリング(中央)(2-38)
モニタリング報告書 (2-53)
[ヤ行] 有害事象 (2-54)
有害事象(重篤な) (2-15)
2-1 医療機関
治験が実施される医療機関。
被験者の治験への参加の意思決定と関連する、治験に関するあらゆる角度からの説明が十分なされた後に、被験者がこれを理解し、自由な意思によって治験への参加に同意し、書面によってそのことを確認すること。インフォームド・コンセントは、被験者若しくは代諾者による記名捺印又は署名と日付が記入された同意文書をもって証明される。
2-3 開発業務受託機関
治験依頼者の治験に係わる業務を治験依頼者から受託する個人又は組織・団体。
2-4 監査
治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準に従って実施され、データが記録、解析され、正確に報告されているか否かを確定するため、治験依頼者によって指名された監査担当者が治験に係わる業務及び文書を体系的かつ独立に検証すること。
(参考)
薬事法第14条第3項
3 第1項の承認を受けようとする者は、厚生省令で定めるところにより、申請書に臨床試験の試験成績に関する資料その他の資料を添付して申請しなければならない。この場合において、当該申請に係る医薬品が厚生省令で定める医薬品であるときは、当該資料は、厚生大臣の定める基準に従って収集され、かつ、作成されたものでなければならない。
薬事法第80条の2
1 治験(薬物を対象とするものに限る。以下この条において同じ。)の依頼をしようとする者は、治験の依頼をするに当たっては、厚生省令で定める基準に従ってこれを行わなければならない。
2-5 監査証跡
事実経過の再現を可能とする文書。
2-6 監査証明書
監査が行われた旨の監査担当者による証明書。
2-7 監査報告書
監査担当者が監査の結果の評価を記述したもの。
2-8 規制当局
厚生省及び厚生大臣が薬事法に基づき調査を委託した者(医薬品副作用被害救済・研究振興調査機構)。
2-9 規制当局による調査
治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準に従って実施され、データが記録・解析され、正確に報告されているか否かを確定するために規制当局が行う検証。
2-10 原医療記録
原資料のうち、被験者に係る臨床所見、観察及び検査等の記録で医療機関にあるもの。
元となる文書、データ及び記録(例えば、病院記録、診療録、検査ノート、メモ、被験者の日記又は評価用チェックリスト、投与記録、自動計器の記録データ、正確な複写であることが検証によって保証された複写物又は転写物、マイクロフィッシュ、写真のネガ、マイクロフィルム又は磁気媒体、エックス線写真、被験者ファイル及び治験に関与する薬剤部門、検査室、医療技術部門に保存されている記録等)。
2-12 原データ
治験における臨床所見、観察、その他の活動に関する元の記録又はその保証付き複写に記録されているあらゆる情報で、治験の事実経過の再現と評価に必要なもの。原データは原資料の中に含まれる。
治験の実施から独立し、治験に関与する者から不当に影響を受けない者で、被験者又はその代諾者が同意文書及びその他の説明文書を読むことができない場合にインフォームド・コンセントの過程に立ち会う者。
参加に伴う利益あるいは参加拒否による上位者の報復を予想することにより、治験への自発的参加の意思が不当に影響を受ける可能性のある個人。例としては、階層構造を有するグループの構成員としての医・歯学生、薬学生、看護学生、病院及び検査機関の下位の職員、製薬企業従業員並びに被拘禁者等がある。その他の例には、不治の病に罹患している患者、養護施設収容者、失業者又は貧困者、緊急状態にある患者、少数民族集団、ホームレス、放浪者、難民、未成年及び治験参加への同意を表明する能力のない者があげられる。
2-15 重篤な有害事象又は重篤な副作用
有害事象又は副作用のうち、死亡に至るもの、生命を脅かすもの、治療のため入院若しくは入院・加療期間の延長が必要なもの、永続的若しくは重大な障害・機能不全に陥るもの、先天異常を来すもの、又はその他の重大な医学的事象を言う。
2-16 症例報告書
各被験者に関して、治験依頼者に報告することが治験実施計画書において規定されている全ての情報を記録するための印刷された又は光学的若しくは電子的な記録様式及びこれらに記録されたもの。
2-17 対照薬
治験において比較の対照として用いられる市販薬若しくは未承認有効成分を含む製剤(すなわち実対照薬)、又はプラセボ。
治験への参加について、被験者に十分な同意の能力がない場合に、被験者とともに、又は被験者に代わって同意をすることが正当なものと認められる者。被験者の配偶者、親権者、後見人その他これらに準じる者で、両者の生活の実質や精神的共同関係から見て、被験者の最善の利益を図りうる者でなければならない。
2-19 多施設共同治験
単一の治験実施計画書に従い、複数の医療機関、すなわち複数の治験責任医師によって実施される治験。
2-20 治験
人を対象として、被験薬の臨床的、薬理学的及びその他の薬力学的効果の検出又は確認、被験薬の副作用の確認、被験薬の安全性及び有効性を確認するための被験薬の吸収、分布、代謝及び排泄の検討等を行う試験で、医薬品の製造(輸入)承認又は承認事項の一部変更承認を申請するに際し提出すべき資料の収集を目的とするもの。
2-21 治験依頼者
治験の発案、運営・管理及び資金等に責任を負う個人、会社、機関又は団体。
2-22 治験協力者
医療機関において治験を実施するチームのメンバーで、治験責任医師によって指導・監督され、専門的立場から治験責任医師及び治験分担医師の業務に協力する者。
2-23 治験審査委員会
医学・歯学・薬学等の専門家及びそれ以外の者によって構成される医療機関の長、治験責任医師及び治験依頼者から独立した委員会。当委員会の責務は、特に、治験実施計画書並びに被験者から文書によるインフォームド・コンセントを得るのに使用される方法及び資料等を審査し、また継続審査を行うことによって、被験者の人権、安全及び福祉の保護を確保することである。
2-24 治験実施計画書
治験の目的、デザイン、方法、統計学的な考察及び組織について記述した文書(正式な手続きを踏んで改訂されたものを含む)。
2-25 治験実施計画書の改訂
治験実施計画書に加えられた変更で、正式に文書化されたもの。
2-26 治験責任医師
医療機関において治験の実施に関して責任を有する医師又は歯科医師。医療機関において、治験が複数の者からなるチームにより実施される場合には、治験責任医師は当該チームの責任者たるリーダーである。
多施設共同治験の実施を調整するために、治験依頼者が設置することのできる治験調整医師からなる委員会。
多施設共同治験の実施において治験依頼者が選定することのできる、参加各医療機関の治験責任医師を調整する責任を担う医師又は歯科医師。
2-29 治験のシステム
治験の品質保証及び品質管理を十分に行うための、治験依頼者並びに医療機関及び治験の実施に係わるその他の施設における組織、体制、手続き、施設及び設備等の体系。
2-30 治験の総括報告書
治験の終了後、治験の目的、方法及び成績等をまとめた治験に関する報告書。
2-31 治験の中間報告書
治験の進行中に行われる解析に基づく中間的な治験成績とその評価に関する報告書。
2-32 治験の品質管理
治験関連の活動の質に求められる事項を充足しているか否かを検証するために、治験の品質保証システムの一環として行われる実務的な手法及び活動。
2-33 治験の品質保証
治験の実施、データ作成、文書化(記録化)及び報告が、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を遵守していることを保証するために設定された、計画的かつ体系的な全活動。
医療機関において治験を実施するチームに参加する個々の医師又は歯科医師で、治験責任医師によって指導・監督され、治験に係わる重要な業務及び決定を行う者。
治験において被験薬若しくは対照薬として用いられる有効成分を含む製剤(承認の有無を問わない)又はプラセボ。
医療機関において医療機関の長によって指名され、治験薬を保管、管理する薬剤師又は医師若しくは歯科医師。ただし、原則として薬剤師とする。
2-37 治験薬概要書
治験の実施に必要な、治験薬(主に被験薬)に関する非臨床試験及び臨床試験の成績を編集したもの。
2-38 中央モニタリング
治験の方法が簡単であるが、参加医療機関の数及び地域的分布が大規模であるなどのために、医療機関への訪問が実施困難な場合において行われる例外的なモニタリングの方法。(1)治験責任医師、治験分担医師、治験協力者等との会合及びそれらの人々に対する訓練や治験に関する詳細な手順書の提供、(2)統計学的にコントロールされた方法でのデータの抽出と検証、(3)治験責任医師等との電話、ファックス等による交信、等の手段が併用される。
2-39 直接閲覧
治験の評価をする上で重要な記録や報告を調査、分析、確認し、複写すること。直接閲覧を行ういかなる者(例えば、規制当局並びに治験依頼者のモニター及び監査担当者)も、被験者の身元及び治験依頼者に帰属する情報に関する秘密の保全を図るため、あらゆる妥当な予防措置を講じなければならない。
2-40 同意文書及びその他の説明文書
インフォームド・コンセントの過程において用いられる治験の目的、内容等(7−3参照)を記した文書一式。(同意文書に主たる説明が記述されている。)
治験の進行、安全性データ及び重要な有効性エンドポイントを適当な間隔で評価し、治験依頼者に治験の継続、変更、又は中止を提言することを目的として、治験依頼者が設置することができる治験依頼者、治験責任医師及び治験調整医師から独立した委員会。
2-42 被験者
治験に参加し、治験薬の投与を受けるか又はその対照となる個人。
個々の被験者の身元に関する秘密を保護するため、治験責任医師が各被験者に割り付けた固有の識別符号で、治験責任医師が有害事象及びその他の治験関連データを報告する際に、被験者の氏名、身元が特定できる番号及び住所等の代わりに用いるもの。
2-44 被験者の福祉
治験に参加する被験者の肉体的及び精神的な健全性。
2-45 必須文書
治験の実施状況及び得られたデータの質を個々に又はまとめて評価することを可能にする文書等の記録。
2-46 秘密の保全
治験依頼者に帰属する情報又は被験者の身元に関する情報を、正式に認められた者以外には開示しないこと。
2-47 標準業務手順書
各々の業務ごとに、その業務を均質に遂行するための手順を詳細に記述した文書。
人を対象としない生物医学的試験及びその他の試験。
治験薬(対照薬として用いられる市販薬を除く)については以下のとおり:
投与量にかかわらず、投与された治験薬に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む)。すなわち、当該治験薬と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。
市販薬については以下のとおり:
疾病の予防、診断、治療、又は生理機能の調整のために用いられる通常の投与量範囲で投与された医薬品に対するあらゆる有害で意図しない反応(臨床検査値の異常を含む)。すなわち、当該医薬品と有害事象との間の因果関係について、少なくとも合理的な可能性があり、因果関係を否定できない反応を指す。
(なお、本基準においては、副作用という用語を、薬理作用の中で主作用に対する副作用を意味する英語の
side effect ではなく、薬物有害反応 adverse drug reaction に対応する意味で用いている。)
2-50 無作為化
バイアス(偏り)を軽減するために、被験者を無作為に処置群(被験薬群)又は対照群に割り付ける方法。
2-51 盲検化(又は遮蔽化)
薬効評価に対する偏りの介入を避ける目的で、治験に参加する単数又は複数の当事者が、治療方法の割付けについて知らされないようにする措置をいう。単盲検法は通常、被験者が割付けの内容を知らされないこと、二重盲検法は被験者、治験責任医師、治験分担医師、治験協力者、治験依頼者、モニター、監査担当者及び一部の事例ではデータ解析者が割付けの内容を知らされないことを指す。
2-52 モニタリング
治験依頼者により指名されたモニターが、治験の進行状況を調査し、治験が治験実施計画書、標準業務手順書、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準に従って実施、記録及び報告されていることを保証する活動。
2-53 モニタリング報告書
治験依頼者により指名されたモニターが、治験依頼者の標準業務手順書に従って、医療機関及び治験に係わるその他の施設を訪問したごとに、並びに治験に係わるあらゆる交信の後に作成し、治験依頼者に提出する報告書。
治験薬を投与された被験者に生じたあらゆる好ましくない医療上のできごと。必ずしも当該治験薬の投与との因果関係が明らかなもののみを示すものではない。すなわち、有害事象とは、治験薬が投与された際に起こる、あらゆる好ましくないあるいは意図しない徴候(臨床検査値の異常を含む)、症状又は病気のことであり、当該治験薬との因果関係の有無は問わない。
副作用のうち、治験薬に関する適用可能な情報(例えば、未承認の治験薬では治験薬概要書、既承認医薬品では添付文書や当該医薬品の特性を記した説明書)と、その性質又は重症度が一致しないもの。
治験は、次に掲げる原則に則って実施されなければならない。
3-1 治験は、ヘルシンキ宣言に基づく倫理的原則及び本基準を遵守して行われなければならない。
3-2 治験を開始する前に、個々の被験者及び社会にとって期待される利益と予想される危険及び不便とを比較考量するものとする。期待される利益によって危険を冒すことが正当化される場合に限り、治験を開始し継続すべきである。
3-3 被験者の人権、安全及び福祉に対する配慮が最も重要であり、科学と社会のための利益よりも優先されるべきである。
3-4 治験薬に関して、その治験の実施を支持するのに十分な非臨床試験及び臨床試験に関する情報が得られていなければならない。
3-5 治験は科学的に妥当でなければならず、治験実施計画書にその内容が明確かつ詳細に記載されていなければならない。
3-6 治験は、治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して実施しなければならない。
3-7 被験者に対する医療及び被験者のためになされる医療上の決定に関する責任は、医師又は歯科医師が常に負うべきである。
3-8 治験の実施に関与する者は、教育、訓練及び経験により、その業務を十分に遂行しうる要件を満たしていなければならない。
3-9 全ての被験者から、治験に参加する前に、自由意思によるインフォームド・コンセントを得なければならない。
3-10 治験に関する全ての情報は、正確な報告、解釈及び検証が可能なように記録し、取扱い、及び保存しなければならない。
3-11 被験者の身元を明らかにする可能性のある記録は、被験者のプライバシーと秘密の保全に配慮して保護しなければならない。
3-12 治験薬の製造、取扱い、保管及び管理は、医薬品の製造管理及び品質管理に関する基準(GMP)に準拠して行うものとする。治験薬は治験審査委員会が事前に承認した治験実施計画書を遵守して使用するものとする。
3-13 治験のあらゆる局面の質を保証するための手順を示したシステムが、運用されなければならない。
3-14 治験に関連して被験者に健康被害が生じた場合には、過失によるものであるか否かを問わず、被験者の損失は適切に補償されなければならない。その際、因果関係の証明等について被験者に負担を課すことがないようにしなければならない。
4-1-1医療機関の長は、医療機関が小規模である等の理由により自らの医療機関に治験審査委員会を設置することが困難である場合を除き、治験の審査を行うため、治験審査委員会を自らの医療機関に設置するものとする。
4-1-2医療機関の長は、医療機関が小規模である等の理由により自らの医療機関に治験審査委員会を設置することが困難である場合には、複数の医療機関の長の協議により、共同で治験審査委員会を設置することができる。
4-1-3 営利を目的としない組織・団体の長(前二項(4-1-1及び4-1-2)に掲げる医療機関の長を除く)は、治験の審査を行う治験審査委員会を設置することができる。
4-1-4 医療機関の長又は営利を目的としない組織・団体の長は、治験審査委員会を設置する場合には、治験審査委員会の運営に関する事務を行う者を指定し、又はその組織を設けるものとする(以下「治験審査委員会事務局」という)。
4-1-5 医療機関の長又は営利を目的としない組織・団体の長は、治験審査委員会を設置する場合には、治験審査委員会の委員を指名し、治験審査委員会と協議の上、運営の手続き及び記録の保存に関する事項を文書により定めるものとする。
4-2-1 治験審査委員会は、全ての被験者の人権、安全及び福祉を保護しなければならない。社会的に弱い立場にある者を被験者とする可能性のある治験には特に注意を払わなければならない。
4-2-2 治験審査委員会は、その責務の遂行のために、審査対象として以下の最新の文書を医療機関の長から入手しなければならない。
4-2-3 治験審査委員会は、倫理的、科学的及び医学的妥当性の観点から治験の実施及び継続等について、適切な期間内に審査を行い、その意見を文書で表明し、医療機関の長に通知しなければならない。文書には審査対象の治験、審査した資料、審査日及び当該治験に対する治験審査委員会の意見が原則として次の1)から4)のいずれに該当するかについて明確に示されていなければならない。
4-2-4 治験審査委員会は、医療機関が十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができるなど、当該治験を適切に実施することができるか否かを検討するものとする。
4-2-5 治験審査委員会は、治験責任医師及び治験分担医師が当該治験を実施する上で適格であるか否かをその最新の履歴書等(4-2-2
8)参照)により検討するものとする。
4-2-6 治験審査委員会は、実施中の各治験について、被験者に対する危険の程度に応じて、少なくとも1年に1回の頻度で治験が適切に実施されているか否かを継続的に審査するものとする。また、必要に応じて、治験の実施状況について調査を行うものとする。
4-2-7 治験審査委員会は、被験者の人権、安全及び福祉を保護する上で追加の情報が意味のある寄与をすると判断した場合には、同意文書及びその他の説明文書に求められる事項(7−3参照)以上の情報を被験者に提供するように要求することができる。
4-2-8 被験者の代諾者の同意に基づき、被験者に対して直接の臨床的利益が予期されない非治療的な治験が行われることが計画されている場合(7-2-3参照)には、治験審査委員会は、提出された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理的問題を適切に配慮しており、かつ
7-2-3の規定に従っているものであることを確認しなければならない。
4-2-9 被験者及びその代諾者の事前の同意を得ることが不可能な緊急状況下における救命的治験が行われることが計画されている場合(7-2-4参照)には、治験審査委員会は、提出された治験実施計画書及びその他の文書が、関連する倫理的問題を適切に配慮しており、かつ
7-2-4の規定に従っているものであることを確認しなければならない。
4-2-10 治験審査委員会は、被験者に対する支払いがある場合には、その支払額及び支払方法を審査し、これらが被験者に治験への参加を強制したり、不当な影響を及ぼさないことを確認しなければならない。被験者への支払いは参加期間等によって案分されなければならず、被験者が治験を完遂しなければ支払いが全くなされないような方法は不適当である。
4-2-11 治験審査委員会は、被験者に対する支払いがある場合にはその支払方法、支払金額、支払時期等の情報が、同意文書及びその他の説明文書に記述されていることを確認し、参加期間等による案分の方法が明記されていることを確認しなければならない(7-3
15)参照)。
4-2-12 治験審査委員会は、治験依頼者から支払われることが予定されている治験費用について、その内容及び支払方法を審査し、これらが適正であるか否かを確認しなければならない。
4-3-1 治験審査委員会は、治験について倫理的、科学的及び医学的観点から審議及び評価するのに必要な資格及び経験を、委員会全体として保持できる適切な数の委員により構成するものとし、次に掲げる条件を全て満たさなければならない。
4-3-2 医療機関の長は、当該治験審査委員会に出席することはできるが、委員になること並びに審議及び採決に参加することはできない。
4-3-3 治験審査委員会は、委員以外の特別な分野の専門家に出席を求め、その協力を得ることができるものとする。
4-4-1 治験審査委員会は、あらかじめ開催が通知され、標準業務手順書に規定する定足数以上の委員が出席した会議においてその意思を決定するものとする。
4-4-2 治験審査委員会の採決には、審議に参加した委員のみが参加を許されるものとする。
4-4-3 当該治験の治験依頼者又は治験責任医師と関係のある委員は、治験審査委員会における当該治験に関する事項の審議及び採決に参加できない。
4-4-4 治験責任医師は、その関与する治験について、治験審査委員会に情報を提供することは許されるが、当該治験の審議及び採決には参加できない。
4-5-1 治験審査委員会は、標準業務手順書に従ってその業務を行い、またその活動及び会議の記録を保存しなければならない。なお、標準業務手順書には、以下の事項を含む手続きを規定するものとする。
11.治験審査委員会が、次の事項について医療機関の長に速やかに文書をもって確実に通知すること。
13.記録の保存に関すること。
4-6-1 治験審査委員会の設置者は、標準業務手順書、委員名簿(各委員の資格を含む)、委員の職業及び所属のリスト、提出された文書、会議の議事要旨及び書簡等の記録を、1)又は2)の日のうち後の日までの間保存しなければならない。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものとする。これらの記録は、規制当局の要請に応じて提示できるようにしておかなければならない。
1. 当該被験薬にかかる製造(輸入)承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日
2. 治験の中止又は終了後3年が経過した日
4-6-2 治験審査委員会の設置者は、医療機関の長(当該治験審査委員会の設置者ではない医療機関の長が当該治験審査委員会に意見を求める場合)又は治験依頼者から、治験審査委員会の標準業務手順書及び委員名簿の提示を求められた場合には、これに応じなければならない。
5-1-1 医療機関は、十分な臨床観察及び試験検査を行うことができ、かつ、緊急時に必要な措置を採ることができるなど、当該治験を適切に実施しうるものでなければならない。通常、次の条件を満たすことが必要である。
5-1-2 医療機関の長は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会及び規制当局による調査を受け入れなければならない。これらの場合には、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じ、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
5-2-1-1 医療機関の長は、治験の実施に必要な手続きについて文書により定めるものとする。
5-2-1-2
医療機関の長は、治験責任医師が治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、治験責任医師が作成したリストに基づき治験分担医師及び治験協力者を指名するものとする(6-1-8参照)。医療機関の長は、指名した治験分担医師及び治験協力者のリストを治験責任医師及び治験依頼者に提出するとともに、その写しを保存しなければならない。
5-2-2-1
医療機関の長は、自らの医療機関に治験審査委員会を設置した場合には、当該医療機関における治験の実施について当該治験審査委員会に意見を求めるものとする。
5-2-2-2 医療機関の長は、医療機関が小規模である等の理由により自らの医療機関に治験審査委員会を設置することが困難である場合であって、複数の医療機関の長の協議により共同で治験審査委員会を設置した場合には、当該医療機関における治験について当該治験審査委員会に意見を求めるものとする。
5-2-2-3 医療機関の長は、医療機関が小規模である等の理由により自らの医療機関に治験審査委員会を設置せず、かつ 5-2-2-2に規定する共同の治験審査委員会を設置しない場合には、当該医療機関における治験の実施について、次のいずれかの治験審査委員会に意見を求めるものとする。この場合、医療機関の長は、意見を求める治験審査委員会の委員名簿及び標準業務手順書を予め入手しておかなければならない。
5-2-2-4 医療機関の長は、適当と判断する場合には、前三項(5-2-2-1、5-2-2-2又は5-2-2-3)に規定する治験審査委員会に加えて、他の治験審査委員会にも意見を求めることができる。この場合、医療機関の長は、意見を求める他の治験審査委員会の委員名簿及び標準業務手順書を予め入手しておかなければならない。
5-2-3-1 医療機関の長は、治験責任医師に対して治験の実施を了承する前に、治験審査委員会に治験の実施について意見を求めるため、治験依頼者又は治験責任医師から提出された治験審査委員会の審査の対象となる文書(4-2-2参照)の最新のものを治験審査委員会に提出するものとする。
5-2-3-2
医療機関の長は、治験審査委員会が治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく医療機関の長の指示、決定を、治験審査委員会の日付入り承認文書の写しとともに、治験依頼者及び治験責任医師に対し文書で通知するものとする(6-2-6-1,
8-1-8-1参照)。
5-2-3-3 医療機関の長は、治験審査委員会が治験実施計画書、症例報告書、同意文書及びその他の説明文書並びにその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく医療機関の長の指示、決定を、治験審査委員会の修正条件を記した日付入り承認文書の写しとともに、治験依頼者及び治験責任医師に文書で通知するものとする(6-2-6-1,
8-1-8-2参照)。
5-2-3-4
医療機関の長は、治験審査委員会が治験の実施を却下する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、治験の実施を了承することはできない。また、5-2-2-4の規定に基づき複数の治験審査委員会に意見を求めた場合においては、いずれかの治験審査委員会が却下とした治験については、その実施を了承することはできない。医療機関の長は、治験の実施を了承できない旨の医療機関の長の決定を、治験審査委員会の日付入り決定の文書の写しとともに、治験依頼者及び治験責任医師に速やかに文書で通知しなければならない。また、医療機関の長は、治験審査委員会の決定について、治験依頼者及び治験責任医師に文書で詳細に説明しなければならない(8-1-8-3参照)。
5-2-3-5 医療機関の長は、8-1-8-1、8-1-8-2及び8-1-8-3の規定に係る文書の入手を求める旨の治験依頼者の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
(参考)
8-1-8-1 治験依頼者は、治験審査委員会が治験の実施を承認した場合は、医療機関との間で治験の契約を締結する前に、医療機関の長から次の文書を入手しなければならない。
8-1-8-2 治験依頼者は、治験審査委員会が治験実施計画書、症例報告書、同意文書及びその他の説明文書並びにその他の手順について、何らかの修正を条件に治験の実施を承認をした場合は、医療機関との間で治験の契約を締結する前に、医療機関の長から、治験審査委員会の修正条件を記した日付入り承認文書の写し及びこれに基づく医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。8-1-8-1に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
8-1-8-3 治験依頼者は、治験審査委員会が治験の実施を却下した場合は、医療機関の長から、治験審査委員会の日付入り決定の文書及びこれに基づく医療機関の長の決定の文書を入手しなければならない。8-1-8-1に規定するその他の文書の入手については、同規定を準用する。
5-2-4-1
医療機関の長は、治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(4-2-2参照)を最新のものにしなければならない。治験依頼者から、追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合は治験審査委員会及び治験責任医師に、治験責任医師から、追加、更新又は改訂された当該文書が提出された場合は治験審査委員会及び治験依頼者にそれらの当該文書の全てを速やかに提出しなければならない(6-2-5-1,
6-2-10-1, 8-1-8-4, 8-1-15-1参照)。
5-2-4-2 医療機関の長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験の継続を承認する決定を下し、又は治験実施計画書、症例報告書、同意文書及びその他の説明文書並びにその他の手順について何らかの修正を条件に治験の継続を承認する決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく医療機関の長の指示、決定を、治験審査委員会の日付入り承認文書の写し又は修正条件を記した日付入り承認文書の写しとともに、治験依頼者及び治験責任医師に文書で通知するものとする(6-2-6-2,
8-1-8-5参照)。
5-2-4-3 医療機関の長は、治験審査委員会が実施中の治験の継続審査等において、治験審査委員会が既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む)の決定を下し、その旨を通知してきた場合は、これに基づく医療機関の長の指示、決定を、治験審査委員会の取消しに関する日付入り文書の写しとともに、治験責任医師及び治験依頼者に速やかに通知するものとする。また、医療機関の長は、治験審査委員会の決定について、治験責任医師及び治験依頼者に文書で詳細に説明しなければならない(6-2-6-3,
8-1-8-5参照)。
5-2-4-4 医療機関の長は、8-1-8-5の規定に係る文書の入手を求める旨の治験依頼者の申し出があった場合には、これに応じなければならない。
(参考)
8-1-8-5 治験依頼者は、医療機関の長から、実施中の治験に関する全ての継続審査等による治験審査委員会の日付入り承認文書の写し、修正条件を記した日付入り承認文書の写し、又は既に承認した事項の取消し(治験の中止又は中断を含む)に関する日付入り文書の写し、及びこれらに基づく医療機関の長の指示、決定の文書を入手しなければならない。8-1-8-1に規定するその他の文書については、同規定を準用する(5-2-4-2,
5-2-4-3, 5-2-4-4参照)。
5-2-4-5 医療機関の長は、治験依頼者が治験の中止又は中断、若しくは被験薬の開発の中止を決定し、その旨を通知してきた場合(8-1-17参照)は治験責任医師及び治験審査委員会に対し、また、治験責任医師が治験を中止又は中断し、その旨を報告してきた場合(6-2-11-2参照)は治験依頼者及び治験審査委員会に対し、それぞれ速やかにその旨を文書で通知するとともに、中止又は中断について文書で詳細に説明しなければならない。
5-2-4-6
医療機関の長は、治験責任医師が治験の終了を報告してきた場合には、治験審査委員会及び治験依頼者に対し、速やかにその旨を文書で通知するとともに、治験責任医師から提出された報告書(6-2-12-1参照)に基づき、治験結果の概要を報告しなければならない。
5-2-5-1 医療機関の長は、治験の実施に関する事務及び支援を行う者を指定し、又はその組織を設けるものとする(以下「治験事務局」という)。
5-2-5-2 治験事務局は、医療機関の長により設置される治験審査委員会事務局を兼ねることができる。
5-2-5-3 治験事務局は、医療機関の長の指示により、次の業務を行うものとする。
5-2-6-1 医療機関における治験薬の管理責任は、医療機関の長が負う。
5-2-6-2
医療機関の長は、治験薬の管理責任の一部又は全部を委任するため、治験薬管理者を置かなければならない。治験薬管理者には薬剤師を当て、医療機関で実施される全ての治験の治験薬を管理させることを原則とする。
5-2-6-3 医療機関の長又は治験薬管理者は、治験依頼者の定めるところにより(8-1-9-5及び8-1-10-3参照)、また本基準を遵守して治験薬を保管、管理しなければならない。
5-2-6-4
医療機関の長又は治験薬管理者は、8-1-10-3に規定する手順書に従い、医療機関に治験依頼者から交付された治験薬の受領、医療機関での在庫、被験者毎の使用状況及び未使用治験薬の治験依頼者への返却又はそれに代わる処分に関して、記録を作成し、保存しなければならない。これらの記録には、日付、数量、製造番号又は製造記号、使用期限(必要な場合)並びに治験薬及び被験者識別コードを含むものとする。さらに、治験実施計画書に規定された量の治験薬が被験者に投与され、また治験依頼者から受領した全ての治験薬の数量が正しく管理されたことを示す記録を作成し、保存しなければならない。
5-2-7-1
医療機関の長は、医療機関において保存すべき必須文書を、次の1)又は2)の日のうち後の日までの間保存しなければならない。ただし、治験依頼者がこれよりも長期間の保存を必要とする場合には、保存期間及び保存方法について治験依頼者と協議するものとする。記録の保存に際しては、それぞれの記録毎に記録の保管責任者を定めて保存するものとする。
1. 当該被験薬にかかる製造(輸入)承認日(開発が中止された場合には開発中止が決定された日から3年が経過した日)
2. 治験の中止又は終了後3年が経過した日
5-2-7-2 医療機関の長又は記録の保管責任者は、これらの記録がこの保存義務期間中に紛失又は廃棄されることがないように、また、求めに応じて提示できるような措置を講じなければならない。
6-1-1 治験責任医師は、教育・訓練及び経験によって、治験を適正に実施しうる者でなければならない。また、治験責任医師は、このことを証明する最新の履歴書及びその他の適切な文書、及び治験分担医師を置く場合には当該治験分担医師の履歴書を、治験依頼者に提出するものとする。
6-1-2 治験責任医師は、治験依頼者と合意した治験実施計画書、最新の治験薬概要書、製品情報及び治験依頼者が提供するその他の文書に記載されている治験薬の適切な使用法に十分精通していなければならない。
6-1-3 治験責任医師は、薬事法第14条第3項及び第80条の2に規定する基準並びに本基準を熟知し、これを遵守しなければならない。
6-1-4 治験責任医師は、治験依頼者によるモニタリング及び監査並びに治験審査委員会並びに規制当局による調査を受け入れなければならない。治験責任医師は、モニター、監査担当者、治験審査委員会又は規制当局の求めに応じて、原資料等の全ての治験関連記録を直接閲覧に供しなければならない。
6-1-5 治験責任医師は、合意された募集期間内に必要数の適格な被験者を集めることが可能であることを過去の実績等により示すことができなければならない。
6-1-6 治験責任医師は、合意された期間内に治験を適正に実施し、終了するに足る時間を有していなければならない。
6-1-7 治験責任医師は、治験を適正かつ安全に実施するため、治験の予定期間中に十分な数の治験分担医師及び治験協力者等の適格なスタッフを確保でき、また適切な設備を利用できなければならない。
6-1-8 治験責任医師は、治験関連の重要な業務の一部を治験分担医師又は治験協力者に分担させる場合には、分担させる業務と分担させる者のリストを作成し、予め医療機関の長に提出し、その指名を受けなければならない(5-2-1-2参照)。
6-1-9 治験責任医師は、治験分担医師、治験協力者等に、治験実施計画書、治験薬及び各人の業務について十分な情報を与え、指導及び監督しなければならない。
6-2-1-1
治験責任医師及び治験分担医師は、被験者の選定に当たって、人権保護の観点から及び治験実施計画書に定められた選択基準及び除外基準に基づき、被験者の健康状態、症状、年齢、性別、同意能力、治験責任医師等との依存関係、他の治験への参加の有無等を考慮のうえ、治験に参加を求めることの適否について慎重に検討しなければならない。
6-2-2-1
治験責任医師又は治験分担医師は、本基準の規定(7−2及び7−3参照)に従い、被験者又はその代諾者から、被験者の治験への参加について文書による同意を得なければならない。
6-2-3-1
治験責任医師は、治験に関連する医療上の全ての判断に責任を負うものとする。
6-2-3-2
医療機関の長及び治験責任医師は、被験者の治験参加期間中及びその後を通じ、治験に関連した臨床上問題となる全ての有害事象に対して、十分な医療が被験者に提供されることを保証するものとする。また、治験責任医師又は治験分担医師は、有害事象に対する医療が必要となったことを知った場合には、被験者にその旨を伝えなければならない。
6-2-3-3
治験責任医師又は治験分担医師は、被験者に他の主治医がいるか否かを確認し、被験者の同意のもとに、主治医に被験者の治験への参加について知らせなければならない。
6-2-3-4
被験者が治験の途中で参加を取り止めようとする場合、又は取り止めた場合には、被験者はその理由を明らかにする必要はないが、治験責任医師又は治験分担医師は、被験者の権利を十分に尊重した上で、その理由を確認するための適切な努力を払わなければならない。
6-2-4-1 治験責任医師は、治験実施計画書及び症例報告書について治験依頼者と合意する前に、治験依頼者から提供される治験実施計画書案、症例報告書案及び最新の治験薬概要書その他必要な資料・情報に基づき治験依頼者と協議し、当該治験を実施することの倫理的及び科学的妥当性について十分検討しなければならない。治験実施計画書及び症例報告書が改訂される場合も同様とする(8-1-4-2,
8-1-4-3参照)。
6-2-4-2 治験責任医師は、前項(6-2-4-1)の検討の結果に基づき、治験依頼者と治験実施計画書及び症例報告書の内容に合意し、また、当該治験実施計画書を遵守することについて合意した旨を証するため、治験依頼者とともに治験実施計画書又はそれに代わる文書に記名捺印又は署名し、日付を記入するものとする。治験実施計画書及び症例報告書が改訂される場合並びに治験審査委員会の意見に基づく医療機関の長の指示により治験実施計画書及び症例報告書が修正される場合も同様とする(8-1-4-4参照)。
6-2-5-1 治験責任医師は、治験実施前及び治験期間を通じて、治験審査委員会の審査の対象となる文書(4-2-2参照)のうち、治験責任医師が提出すべき文書を最新のものにしなければならない。当該文書が追加、更新又は改訂された場合は、その全てを速やかに医療機関の長に提出するものとする(5-2-3-1,
5-2-4-1参照)。
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