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改正「省令GCP」のトップページ 第一章〜第二章 第三章〜第四章


医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令
第三章 治験の管理に関する基準〜第四章 治験を行う基準


   第三章 治験の管理に関する基準

    第一節 治験依頼者による治験の管理に関する基準


(治験薬の管理)
第十六条  治験依頼者は、治験薬の容器又は被包に次に掲げる事項を邦文で記載しなければならない。
一  治験用である旨
二  治験依頼者の氏名及び住所(当該者が本邦内に住所を有しない場合にあっては、その氏名及び住所地の国名並びに治験国内管理人の氏名及び住所)
三  化学名又は識別記号
四  製造番号又は製造記号
五  貯蔵方法、有効期間等を定める必要があるものについては、その内容
2  治験依頼者は、治験薬に添付する文書、その治験薬又はその容器若しくは被包(内袋を含む。)には、次に掲げる事項を記載してはならない。
一  予定される販売名
二  予定される効能又は効果
三  予定される用法又は用量
3  治験依頼者は、被験者、治験責任医師等及び治験協力者が被験薬及び対照薬の識別をできない状態で実施医療機関に交付した治験薬について、緊急時に、治験責任医師等が被験薬及び対照薬の識別を直ちにできるよう必要な措置を講じておかなければならない。
4  治験依頼者は、輸送及び保存中の汚染や劣化を防止するため治験薬を包装して実施医療機関に交付しなければならない。
5  治験依頼者は、治験薬に関する次に掲げる記録を作成しなければならない。
一  治験薬の製造年月日、製造方法、製造数量等の製造に関する記録及び治験薬の安定性等の品質に関する試験の記録
二  実施医療機関ごとの治験薬の交付又は回収の数量及び年月日の記録
三  治験薬の処分の記録
6  治験依頼者は、治験の契約の締結後遅滞なく、実施医療機関における治験薬の管理に関する手順書を作成し、これを実施医療機関の長に交付しなければならない。
7  治験依頼者は、必要に応じ、治験薬の溶解方法その他の取扱方法を説明した文書を作成し、これを治験責任医師等、治験協力者及び第三十九条第一項に規定する治験薬管理者に交付しなければならない。
8  第六項に規定する手順書の交付については、第十条第二項から第六項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは、「治験依頼者」と読み替えるものとする。
9  第七項に規定する文書の交付については、第十条第二項から第六項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「治験依頼者」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験責任医師等、治験協力者及び第三十九条第一項に規定する治験薬管理者」と読み替えるものとする。


(治験薬の交付)
第十七条  治験依頼者は、治験薬の品質の確保のために必要な構造設備を備え、かつ、適切な製造管理及び品質管理の方法が採られている製造所において製造された治験薬を実施医療機関に交付しなければならない。
2  治験依頼者は、治験薬を医薬品の販売業者その他の第三者を介在させることなく、直接実施医療機関に交付しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りではない。


(多施設共同治験)
第十八条  治験依頼者は、一の治験実施計画書に基づき複数の実施医療機関に対して治験の依頼をした場合には、当該実施医療機関における当該治験実施計画書の解釈その他の治験の細目について調整する業務を医師若しくは歯科医師(以下「治験調整医師」という。)又は複数の医師若しくは歯科医師で構成される委員会(以下「治験調整委員会」という。)に委嘱することができる。
2  前項の規定により治験調整医師又は治験調整委員会に委嘱する場合には、その業務の範囲、手順その他必要な事項を記載した文書を作成しなければならない。


(効果安全性評価委員会の設置)
第十九条  治験依頼者は、治験の継続の適否又は治験実施計画書の変更について審議させるために効果安全性評価委員会を設置することができる。
2  治験依頼者は、前項の効果安全性評価委員会の審議に関する手順書を作成し、これに従って審議を行わせなければならない。
3  治験依頼者は、前項の審議を行ったときは、その審議の記録を作成し、これを保存しなければならない。


(副作用情報等)
第二十条  治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために必要な情報を収集し、及び検討するとともに、実施医療機関の長に対し、これを提供しなければならない。
2  治験依頼者は、被験薬について法第八十条の二第六項 に規定する事項を知ったときは、直ちにその旨を治験責任医師及び実施医療機関の長に通知しなければならない。
3  治験依頼者は、被験薬の品質、有効性及び安全性に関する事項その他の治験を適正に行うために重要な情報を知ったときは、必要に応じ、治験実施計画書及び治験薬概要書を改訂しなければならない。この場合において、治験実施計画書の改訂について治験責任医師の同意を得なければならない。


(モニタリングの実施)
第二十一条  治験依頼者は、モニタリングに関する手順書を作成し、当該手順書に従ってモニタリングを実施しなければならない。
2  前項の規定によりモニタリングを実施する場合には、実施医療機関において実地に行わなければならない。ただし、他の方法により十分にモニタリングを実施することができる場合には、この限りではない。


(モニターの責務)
第二十二条  モニタリングに従事する者(以下「モニター」という。)は、モニタリングの結果、実施医療機関における治験がこの省令又は治験実施計画書に従って行われていないことを確認した場合には、その旨を直ちに当該実施医療機関の治験責任医師に告げなければならない。
2  モニターは、モニタリングの実施の際、実施医療機関において実地に行い、又はこれと連絡を取ったときは、その都度次に掲げる事項を記載したモニタリング報告書を治験依頼者に提出しなければならない。
一  モニタリングを行った日時
二  モニタリングの対象となった実施医療機関
三  モニターの氏名
四  モニタリングの際に説明等を聴取した治験責任医師等の氏名
五  モニタリングの結果の概要
六  前項の規定により治験責任医師に告げた事項
七  前号に規定する事項について講じられるべき措置及び当該措置に関するモニターの所見


(監査)
第二十三条  治験依頼者は、監査に関する計画書及び業務に関する手順書を作成し、当該計画書及び手順書に従って監査を実施しなければならない。
2  監査に従事する者(以下「監査担当者」という。)は、医薬品の開発に係る部門及びモニタリングを担当する部門に属してはならない。
3  監査担当者は、監査を実施した場合には、監査で確認した事項を記録した監査報告書及び監査が実施されたことを証明する監査証明書を作成し、これを治験依頼者に提出しなければならない。


(治験の中止等)
第二十四条  治験依頼者は、実施医療機関がこの省令、治験実施計画書又は治験の契約に違反することにより適正な治験に支障を及ぼしたと認める場合(第四十六条に規定する場合を除く。)には、当該実施医療機関との治験の契約を解除し、当該実施医療機関における治験を中止しなければならない。
2  治験依頼者は、治験を中断し、又は中止する場合には、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
3  治験依頼者は、当該治験により収集された臨床試験の試験成績に関する資料を法第十四条第三項 に規定する申請書に添付しないことを決定した場合には、その旨及びその理由を実施医療機関の長に文書により通知しなければならない。
4  第二項及び前項に規定する文書による通知については、第十条第二項から第六項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは、「治験依頼者」と読み替えるものとする。


(総括報告書)
第二十五条  治験依頼者は、治験を終了し、又は中止したときは、総括報告書(治験の結果等を取りまとめた文書をいう。以下同じ。)を作成しなければならない。


(記録の保存等)
第二十六条  治験依頼者は、次に掲げる治験に関する記録(文書及びデータを含む。)を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第二十四条第三項の規定により通知したときは、通知した日後三年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間適切に保存しなければならない。
一  治験実施計画書、契約書、総括報告書その他この省令の規定により治験依頼者が作成した文書又はその写し
二  症例報告書、第三十二条第六項の規定により通知された文書その他この省令の規定により実施医療機関の長又は治験責任医師等から入手した記録
三  モニタリング、監査その他の治験の依頼及び管理に係る業務の記録(前二号及び第五号に掲げるものを除く。)
四  治験を行うことにより得られたデータ
五  第十六条第五項に規定する記録
2  本邦内に住所を有しない治験依頼者は、治験国内管理人に第十六条第五項に規定する記録を前項に定める期間保存させなければならない。


   第四章 治験を行う基準

    第一節 治験審査委員会


(治験審査委員会の設置)
第二十七条  実施医療機関の長は、治験を行うことの適否その他の治験に関する調査審議を行わせるため、実施医療機関ごとに一の治験審査委員会を設置しなければならない。ただし、当該実施医療機関が小規模であること、医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者の確保が困難であることその他の事由により当該実施医療機関に治験審査委員会を設置することができない場合において、当該治験審査委員会の設置に代えて次に掲げる治験審査委員会に当該調査審議を行わせるときはこの限りでない。
一  当該実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置した治験審査委員会
二  民法 (明治二十九年法律第八十九号)第三十四条 の規定により設立された法人が設置した治験審査委員会
三  特定非営利活動促進法 (平成十年法律第七号)第二条第二項 に規定する特定非営利活動法人が設置した治験審査委員会
四  医療関係者により構成された学術団体が設置した治験審査委員会
五  他の医療機関の長が設置した治験審査委員会(第一号に掲げるものを除く。)
2  前項第二号から第四号までに掲げる治験審査委員会は、その設置をする者(以下「治験審査委員会の設置者」という。)が次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
一  定款、寄付行為その他これらに準ずるものにおいて、治験審査委員会を設置する旨の定めがあること。
二  その役員(いかなる名称によるかを問わず、これと同等以上の職権又は支配力を有する者を含む。次号において同じ。)のうちに医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療関係者が含まれていること。
三  その役員に占める次に掲げる者の割合が、それぞれ三分の一以下であること。
イ 特定の医療機関の職員その他の当該医療機関と密接な関係を有する者
ロ 特定の法人の役員又は職員その他の当該法人と密接な関係を有する者
四  治験審査委員会の設置及び運営に関する業務を適確に遂行するに足りる財産的基礎を有していること。
五  財産目録、貸借対照表、損益計算書、事業報告書その他の財務に関する書類をその事務所に備えて置き、一般の閲覧に供していること。
六  その他治験審査委員会の業務の公正かつ適正な遂行を損なうおそれがないこと。


(治験審査委員会の構成等)
第二十八条  治験審査委員会は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
一  治験について倫理的及び科学的観点から十分に審議を行うことができること。
二  五名以上の委員からなること。
三  委員のうち、医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門的知識を有する者以外の者(次号及び第五号の規定により委員に加えられている者を除く。)が加えられていること。
四  委員のうち、実施医療機関と利害関係を有しない者が加えられていること。
五  委員のうち、治験審査委員会の設置者と利害関係を有しない者が加えられていること。
2  治験審査委員会の設置者は、次に掲げる事項について記載した手順書及び委員名簿を作成し、当該手順書に従って業務を行わせなければならない。
一  委員長の選任方法
二  会議の成立要件
三  会議の運営に関する事項
四  第三十一条第一項の適否の審査の実施時期に関する事項
五  会議の記録に関する事項
六  記録の保存に関する事項
七  その他必要な事項
3  治験審査委員会の設置者は、治験審査委員会の事務を行う者を選任しなければならない。


(治験審査委員会の会議)
第二十九条  次に掲げる委員は、審査の対象となる治験に係る審議及び採決に参加することができない。
一  治験依頼者の役員又は職員その他の治験依頼者と密接な関係を有する者
二  自ら治験を実施する者又は自ら治験を実施する者と密接な関係を有する者
三  実施医療機関の長、治験責任医師等又は治験協力者
2  審議に参加していない委員は、採決に参加することができない。


(治験審査委員会の審査)
第三十条  実施医療機関の長は、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について、あらかじめ、実施医療機関設置治験審査委員会(第二十七条第一項本文の規定により設置した治験審査委員会をいう。以下同じ。)又は同項ただし書の規定により調査審議を行わせることとした治験審査委員会(以下「実施医療機関等設置治験審査委員会」と総称する。)の意見を聴かなければならない。
2  実施医療機関の長は、第二十七条第一項ただし書の規定により同項第二号から第五号までに掲げる治験審査委員会に調査審議を行わせることとする場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した文書により当該治験審査委員会の設置者との契約を締結しなければならない。
一  当該契約を締結した年月日
二  当該実施医療機関及び当該治験審査委員会の設置者の名称及び所在地
三  当該契約に係る業務の手順に関する事項
四  当該治験審査委員会が意見を述べるべき期限
五  被験者の秘密の保全に関する事項
六  その他必要な事項
3  前項の契約の締結については、第十二条第二項から第六項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「受託者」とあるのは「第二十七条第一項ただし書の規定により調査審議を行わせる治験審査委員会(同項第一号に掲げる治験審査委員会を除く。)の設置者」と読み替えるものとする。
4  実施医療機関の長は、第一項の規定により実施医療機関設置治験審査委員会の意見を聴くに当たり、治験を行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項を調査審議させるため必要があると認めるときは、当該実施医療機関設置治験審査委員会の承諾を得て、当該専門的事項について当該実施医療機関設置治験審査委員会以外の治験審査委員会(第二十七条第一項各号に掲げるもの(同項第二号から第四号までに掲げるものにあっては、同条第二項各号に掲げる要件を満たすものに限る。)に限る。)の意見を聴くことができる。
5  実施医療機関の長は、前項の規定により意見を聴いた治験審査委員会(以下「専門治験審査委員会」という。)が意見を述べたときは、速やかに当該意見を実施医療機関設置治験審査委員会に報告しなければならない。
6  実施医療機関の長は、第四項の規定により専門治験審査委員会(第二十七条第一項第一号に掲げる治験審査委員会を除く。)の意見を聴く場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した文書により当該専門治験審査委員会の設置者との契約を締結しなければならない。
一  当該契約を締結した年月日
二  当該実施医療機関及び当該専門治験審査委員会の設置者の名称及び所在地
三  当該契約に係る業務の手順に関する事項
四  当該専門治験審査委員会が調査審議を行う特定の専門的事項の範囲及び当該専門治験審査委員会が意見を述べるべき期限
五  被験者の秘密の保全に関する事項
六  その他必要な事項
7  前項の契約の締結については、第十二条第二項から第六項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「受託者」とあるのは「第三十条第五項に規定する専門治験審査委員会(第二十七条第一項第一号に掲げる治験審査委員会を除く。)の設置者」と読み替えるものとする。
8  実施医療機関の長は、当該実施医療機関において治験を行うことの適否について、実施医療機関等設置治験審査委員会以外の治験審査委員会(第二十七条第一項各号に掲げるもの(同項第二号から第四号までに掲げるものにあっては、同条第二項各号に掲げる要件を満たすものに限る。)に限る。以下「第三者治験審査委員会」という。)の意見を聴くことができる。
9  実施医療機関の長は、前項の規定により第三者治験審査委員会(第二十七条第一項第一号に掲げる治験審査委員会を除く。)の意見を聴く場合には、あらかじめ、次に掲げる事項を記載した文書により当該第三者治験審査委員会の設置者との契約を締結しなければならない。
一  当該契約を締結した年月日
二  当該実施医療機関及び当該第三者治験審査委員会の設置者の名称及び所在地
三  当該契約に係る業務の手順に関する事項
四  当該第三者治験審査委員会が意見を述べるべき期限
五  被験者の秘密の保全に関する事項
六  その他必要な事項
10  前項の契約の締結については、第十二条第二項から第六項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「受託者」とあるのは「第三十条第八項に規定する第三者治験審査委員会(第二十七条第一項第一号に掲げる治験審査委員会を除く。)の設置者」と読み替えるものとする。
11  実施医療機関の長は、第一項、第四項又は第八項の規定により、第二十七条第一項第二号から第五号までに掲げる治験審査委員会に意見を聴くときは、第二十八条第二項に規定する当該治験審査委員会の手順書及び委員名簿を入手しなければならない。


(継続審査等)
第三十一条  実施医療機関の長は、治験の期間が一年を越える場合には、一年に一回以上、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について前条第一項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について前条第四項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合にあっては当該専門治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
2  実施医療機関の長は、第二十条第二項、第二十六条の六第二項並びに第四十八条第二項及び第三項の規定により通知を受けたとき、第五十四条第三項の規定により報告を受けたときその他実施医療機関の長が必要があると認めたときは、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否について前条第一項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる特定の専門的事項について前条第四項の規定により意見を聴いた専門治験審査委員会がある場合にあっては当該専門治験審査委員会の意見を聴かなければならない。
3  前二項の規定により専門治験審査委員会の意見を聴く場合については、前条第五項の規定を準用する。
4  実施医療機関の長は、第二十六条の八第二項に規定するモニタリング報告書を受け取ったとき又は第二十六条の九第三項に規定する監査報告書を受け取ったときは、当該実施医療機関において治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われたかどうかについて、前条第一項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を聴かなければならない。


(治験審査委員会の責務)
第三十二条  実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会は、第三十条第一項又は第八項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、審査の対象とされる治験が倫理的及び科学的に妥当であるかどうかその他当該治験が当該実施医療機関において行うのに適当であるかどうかを、次に掲げる資料に基づき審査し、文書により意見を述べなければならない。
一  第十条第一項各号又は第十五条の七各号に掲げる文書
二  被験者の募集の手順に関する資料
三  第七条第五項又は第十五条の四第四項に規定する情報その他治験を適正に行うために重要な情報を記載した文書
四  治験責任医師等となるべき者の履歴書
五  その他当該治験審査委員会が必要と認める資料
2  専門治験審査委員会は、第三十条第四項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、審査の対象とされる特定の専門的事項について前項各号に掲げる資料(当該専門治験審査委員会が必要と認めるものに限る。)に基づき審査し、文書により意見を述べなければならない。
3  実施医療機関等設置治験審査委員会及び専門治験審査委員会は、前条第一項又は第二項の規定により実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、実施医療機関等設置治験審査委員会にあっては当該実施医療機関において当該治験が適切に行われているかどうかを調査した上、当該実施医療機関において治験を継続して行うことの適否を審査し、文書により意見を、専門治験審査委員会にあっては意見を聴かれた特定の専門的事項について調査をした上、当該治験を継続して行うことの適否の判断の前提となる専門的事項を審査し、文書により意見を、それぞれ意見を聴かれた事項に係る事態の緊急性に応じて速やかに述べなければならない。
4  実施医療機関等設置治験審査委員会は、前条第四項の規定により、実施医療機関の長から意見を聴かれたときは、当該実施医療機関において当該治験が適切に行われているかどうか又は適切に行われていたかどうかについて審査し、文書により意見を述べなければならない。
5  第三十条第四項の規定により実施医療機関の長が専門治験審査委員会の意見を聴いた場合においては、実施医療機関設置治験審査委員会は、第一項又は第三項の規定により意見を述べるに当たり、同条第五項(前条第三項において準用する場合を含む。)の規定により報告された当該専門治験審査委員会の意見を踏まえて、これを行わなければならない。
6  実施医療機関の長は、第一項の規定による実施医療機関等設置治験審査委員会若しくは第三者治験審査委員会の意見又は第三項の規定による実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者及び治験責任医師となるべき者又は治験責任医師に文書により通知しなければならない。
7  実施医療機関の長は、第一項の規定による実施医療機関等設置治験審査委員会若しくは第三者治験審査委員会の意見又は第三項若しくは第四項の規定による実施医療機関等設置治験審査委員会の意見を自ら治験を実施しようとする者又は自ら治験を実施する者に文書により通知しなければならない。
8  第六項に規定する文書による通知については、第十条第二項から第六項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験の依頼をしようとする者又は治験依頼者」と読み替えるものとする。


(治験審査委員会の意見)
第三十三条  実施医療機関は、第三十条第一項又は第八項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会又は第三者治験審査委員会が、治験を行うことが適当でない旨の意見を述べたときは、治験の依頼を受け、又は治験の実施を承認してはならない。
2  実施医療機関は、第三十一条第一項又は第二項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会が、治験を継続して行うことが適当でない旨の意見を述べたときは、治験の契約を解除し、又は治験を中止しなければならない。
3  実施医療機関の長は、第三十一条第四項の規定により意見を聴いた実施医療機関等設置治験審査委員会が、当該実施医療機関において当該治験が適切に行われていない旨又は適切に行われていなかった旨の意見を述べたときは、必要な措置を講じなければならない。


(記録の保存)
第三十四条  治験審査委員会を設置した者は、第二十八条第二項に規定する手順書及び委員名簿、第三十条第二項、第六項及び第九項の規定による契約に関する資料、第三十二条第一項各号に掲げる資料、同条第二項に規定する資料、第四十条第一項から第四項までの規定による実施医療機関等設置治験審査委員会及び専門治験審査委員会に対する通知並びに治験審査委員会の会議の記録を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第二十四条第三項又は第二十六条の十第三項に規定する通知を受けたときは、通知を受けた日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。


    第二節 実施医療機関


(実施医療機関の要件)
第三十五条  実施医療機関は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
一  十分な臨床観察及び試験検査を行う設備及び人員を有していること。
二  緊急時に被験者に対して必要な措置を講ずることができること。
三  実施医療機関設置治験審査委員会が設置されていること(第二十七条ただし書の場合を除く。)。
四  治験責任医師等、薬剤師、看護師その他治験を適正かつ円滑に行うために必要な職員が十分に確保されていること。


(実施医療機関の長)
第三十六条  実施医療機関の長は、治験に係る業務に関する手順書を作成しなければならない。
2  実施医療機関の長は、当該実施医療機関における治験がこの省令、治験実施計画書、治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては治験の契約書、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては第十五条の七第一項第五号から第十一号までに規定する文書及び前項の手順書に従って適正かつ円滑に行われるよう必要な措置を講じなければならない。
3  実施医療機関の長は、被験者の秘密の保全が担保されるよう必要な措置を講じなければならない。


(モニタリング等への協力)
第三十七条  実施医療機関の長は、治験依頼者が実施し、又は自ら治験を実施する者が実施させるモニタリング及び監査並びに実施医療機関等設置治験審査委員会及び専門治験審査委員会(専門治験審査委員会にあっては、第三十条第四項の規定により意見を聴く場合に限る。以下「実施医療機関等設置治験審査委員会等」という。)並びに第三者治験審査委員会(同条第八項の規定により意見を聴く場合に限る。以下同じ。)による調査に協力しなければならない。
2  実施医療機関の長は、前項のモニタリング、監査又は調査が実施される際には、モニター、監査担当者又は実施医療機関等設置治験審査委員会等及び第三者治験審査委員会の求めに応じ、第四十一条第二項各号に掲げる治験に関する記録を閲覧に供しなければならない。


(治験事務局)
第三十八条  実施医療機関の長は、治験に係る業務に関する事務を行う者を選任しなければならない。


(治験薬の管理)
第三十九条  実施医療機関の長は、第十六条第六項又は第二十六条の二第六項の手順書を治験薬管理者(治験薬を管理する者をいう。)に交付しなければならない。
2  前項の治験薬管理者は、第十六条第六項又は第二十六条の二第六項の手順書に従って治験薬を適切に管理しなければならない。


(業務の委託等)
第三十九条の二  実施医療機関(自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師又は実施医療機関。以下この条において同じ。)は、治験の実施に係る業務の一部を委託する場合には、次に掲げる事項を記載した文書により当該業務を受託する者との契約を締結しなければならない。
一  当該委託に係る業務の範囲
二  当該委託に係る業務の手順に関する事項
三  前号の手順に基づき当該委託に係る業務が適正かつ円滑に行われているかどうかを実施医療機関が確認することができる旨
四  当該受託者に対する指示に関する事項
五  前号の指示を行った場合において当該措置が講じられたかどうかを実施医療機関が確認することができる旨
六  当該受託者が実施医療機関に対して行う報告に関する事項
七  その他当該委託に係る業務について必要な事項


(治験の中止等)
第四十条  実施医療機関の長は、第二十条第二項の規定により治験依頼者から又は第二十六条の六第二項の規定により自ら治験を実施する者から通知を受けたときは、直ちにその旨を実施医療機関等設置治験審査委員会等に文書により通知しなければならない。
2  実施医療機関の長は、第二十四条第二項の規定により治験依頼者から若しくは第二十六条の十第二項の規定により自ら治験を実施する者から治験を中断し、若しくは中止する旨の通知を受けたとき又は第二十四条第三項の規定により治験依頼者から申請書に添付しないことを決定した旨の通知若しくは第二十六条の十第三項の規定により自ら治験を実施する者から申請書に添付されないことを知った旨の通知を受けたときは、速やかにその旨及びその理由を治験責任医師及び実施医療機関等設置治験審査委員会等に文書により通知しなければならない。
3  実施医療機関の長は、第四十九条第二項の規定により治験責任医師から治験を中断し、又は中止する旨の報告を受けた場合は、速やかにその旨及びその理由を実施医療機関等設置治験審査委員会等及び治験依頼者に文書により通知しなければならない。
4  実施医療機関の長は、第四十九条第三項の規定により治験責任医師から治験を終了する旨の報告を受けたときは、その旨及びその結果の概要を実施医療機関等設置治験審査委員会等及び治験依頼者に通知しなければならない。
5  第三項に規定する文書による通知については、第十条第二項から第六項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「実施医療機関の長」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験依頼者」と読み替えるものとする。


(記録の保存)
第四十一条  実施医療機関の長は、記録保存責任者を置かなければならない。
2  前項の記録保存責任者は、次に掲げる治験に関する記録(文書を含む。)を被験薬に係る医薬品についての製造販売の承認を受ける日(第二十四条第三項又は第二十六条の十第三項の規定により通知を受けたときは、通知を受けた日後三年を経過した日)又は治験の中止若しくは終了の後三年を経過した日のうちいずれか遅い日までの期間保存しなければならない。
一  原資料
二  契約書又は承認書、同意文書及び説明文書その他この省令の規定により実施医療機関に従事する者が作成した文書又はその写し
三  治験実施計画書、第三十二条第一項から第三項までの規定により実施医療機関等設置治験審査委員会等及び第三者治験審査委員会から入手した文書その他この省令の規定により入手した文書
四  治験薬の管理その他の治験に係る業務の記録


    第三節 治験責任医師


(治験責任医師の要件)
第四十二条  治験責任医師は、次に掲げる要件を満たしていなければならない。
一  治験を適正に行うことができる十分な教育及び訓練を受け、かつ、十分な臨床経験を有すること。
二  治験実施計画書、治験薬概要書及び第十六条第七項又は第二十六条の二第七項に規定する文書に記載されている治験薬の適切な使用方法に精通していること。
三  治験を行うのに必要な時間的余裕を有すること。


(治験分担医師等)
第四十三条  治験責任医師は、当該治験に係る治験分担医師又は治験協力者が存する場合には、分担する業務の一覧表を作成しなければならない。
2  治験責任医師は、治験分担医師及び治験協力者に治験の内容について十分に説明するとともに、第二十条第二項の規定により通知された事項、第二十六条の六第二項の規定により通知した事項その他分担させる業務を適正かつ円滑に行うために必要な情報を提供しなければならない。


(被験者となるべき者の選定)
第四十四条  治験責任医師等は、次に掲げるところにより、被験者となるべき者を選定しなければならない。
一  倫理的及び科学的観点から、治験の目的に応じ、健康状態、症状、年齢、同意の能力等を十分に考慮すること。
二  同意の能力を欠く者にあっては、被験者とすることがやむを得ない場合を除き、選定しないこと。
三  治験に参加しないことにより不当な不利益を受けるおそれがある者を選定する場合にあっては、当該者の同意が自発的に行われるよう十分な配慮を行うこと。


(被験者に対する責務)
第四十五条  治験責任医師等は、治験薬の適正な使用方法を被験者に説明し、かつ、必要に応じ、被験者が治験薬を適正に使用しているかどうかを確認しなければならない。
2  治験責任医師等は、被験者が他の医師により治療を受けている場合には、被験者の同意の下に、被験者が治験に参加する旨を当該他の医師に通知しなければならない。
3  実施医療機関の長及び治験責任医師等は、被験者に生じた有害事象に対して適切な医療が提供されるよう、事前に、必要な措置を講じておかなければならない。
4  治験責任医師等は、被験者に有害事象が生じ、治療が必要であると認めるときは、その旨を被験者に通知しなければならない。


(治験実施計画書からの逸脱)
第四十六条  治験責任医師は、被験者の緊急の危険を回避するためその他医療上やむを得ない理由により治験実施計画書に従わなかった場合には、すべてこれを記録し、その旨及びその理由を記載した文書を直ちに治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては治験依頼者及び実施医療機関の長に、自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては実施医療機関の長に提出しなければならない。
2  治験依頼者が治験を依頼する場合における前項に規定する文書の提出については、第十条第二項から第六項までの規定を準用する。この場合において、これらの規定中「治験の依頼をしようとする者」とあるのは「治験責任医師」と、「実施医療機関の長」とあるのは「治験依頼者」と読み替えるものとする。


(症例報告書等)
第四十七条  治験責任医師等は、治験実施計画書に従って正確に症例報告書を作成し、これに記名なつ印し、又は署名しなければならない。
2  治験責任医師等は、症例報告書の記載を変更し、又は修正するときは、その日付を記載して、これになつ印し、又は署名しなければならない。
3  治験責任医師は、治験分担医師が作成した症例報告書を点検し、内容を確認した上で、これに記名なつ印し、又は署名しなければならない。


(治験中の副作用等報告)
第四十八条  治験責任医師は、治験の実施状況の概要を適宜実施医療機関の長に文書により報告しなければならない。
2  治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては、治験責任医師は、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長に報告するとともに、治験依頼者に通知しなければならない。この場合において、治験依頼者、実施医療機関の長又は実施医療機関等設置治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験依頼者が治験を依頼する場合にあっては、治験責任医師はこれに応じなければならない。
3  自ら治験を実施する者が治験を実施する場合にあっては、治験責任医師は、治験薬の副作用によると疑われる死亡その他の重篤な有害事象の発生を認めたときは、直ちに実施医療機関の長(一つの実施計画書に基づき共同で複数の実施医療機関において治験を実施する場合には他の実施医療機関の治験責任医師を含む。)に報告するとともに、治験薬提供者に通知しなければならない。この場合において、治験薬提供者、実施医療機関の長又は実施医療機関等設置治験審査委員会等から更に必要な情報の提供を求められたときは、当該治験責任医師はこれに応じなければならない。


(治験の中止等)
第四十九条  治験責任医師は、第四十条第二項の通知により治験が中断され、又は中止されたときは、被験者に速やかにその旨を通知するとともに、適切な医療の提供その他必要な措置を講じなければならない。
2  治験責任医師は、自ら治験を中断し、又は中止したときは、実施医療機関の長に速やかにその旨及びその理由を文書により報告しなければならない。
3  治験責任医師は、治験を終了したときは、実施医療機関の長にその旨及びその結果の概要を文書により報告しなければならない。


    第四節 被験者の同意


(文書による説明と同意の取得)
第五十条  治験責任医師等は、被験者となるべき者を治験に参加させるときは、あらかじめ治験の内容その他の治験に関する事項について当該者の理解を得るよう、文書により適切な説明を行い、文書により同意を得なければならない。
2  被験者となるべき者が同意の能力を欠くこと等により同意を得ることが困難であるときは、前項の規定にかかわらず、代諾者となるべき者の同意を得ることにより、当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
3  治験責任医師等は、前項の規定により代諾者となるべき者の同意を得た場合には、代諾者の同意に関する記録及び代諾者と被験者との関係についての記録を作成しなければならない。
4  治験責任医師等は、当該被験者に対して治験薬の効果を有しないと予測される治験においては、第二項の規定にかかわらず、同意を得ることが困難な被験者となるべき者を治験に参加させてはならない。ただし、第七条第二項又は第十五条の四第二項に規定する場合は、この限りではない。
5  治験責任医師等は、説明文書の内容その他治験に関する事項について、被験者となるべき者(代諾者となるべき者の同意を得る場合にあっては、当該者。次条から第五十三条までにおいて同じ。)に質問をする機会を与え、かつ、当該質問に十分に答えなければならない。


(説明文書)
第五十一条  治験責任医師等は、前条第一項の説明を行うときは、次に掲げる事項を記載した説明文書を交付しなければならない。
一  当該治験が試験を目的とするものである旨
二  治験の目的
三  治験責任医師の氏名、職名及び連絡先
四  治験の方法
五  予測される治験薬による被験者の心身の健康に対する利益(当該利益が見込まれない場合はその旨)及び予測される被験者に対する不利益
六  他の治療方法に関する事項
七  治験に参加する期間
八  治験の参加を何時でも取りやめることができる旨
九  治験に参加しないこと、又は参加を取りやめることにより被験者が不利益な取扱いを受けない旨
十  被験者の秘密が保全されることを条件に、モニター、監査担当者並びに実施医療機関等設置治験審査委員会等及び第三者治験審査委員会が原資料を閲覧できる旨
十一  被験者に係る秘密が保全される旨
十二  健康被害が発生した場合における実施医療機関の連絡先
十三  健康被害が発生した場合に必要な治療が行われる旨
十四  健康被害の補償に関する事項
十五  当該治験の適否等について調査審議を行う治験審査委員会の種類、各治験審査委員会において調査審議を行う事項その他当該治験に係る治験審査委員会に関する事項
十六  当該治験に係る必要な事項
2  説明文書には、被験者となるべき者に権利を放棄させる旨又はそれを疑わせる記載並びに治験依頼者、自ら治験を実施する者、実施医療機関、治験責任医師等の責任を免除し若しくは軽減させる旨又はそれを疑わせる記載をしてはならない。
3  説明文書には、できる限り平易な表現を用いなければならない。


(同意文書等への署名等)
第五十二条  第五十条第一項又は第二項に規定する同意は、被験者となるべき者が説明文書の内容を十分に理解した上で、当該内容の治験に参加することに同意する旨を記載した文書(以下「同意文書」という。)に、説明を行った治験責任医師等及び被験者となるべき者(第三項に規定する立会人が立ち会う場合にあっては、被験者となるべき者及び立会人。次条において同じ。)が日付を記載して、これに記名なつ印し、又は署名しなければ、効力を生じない。
2  第五十条第一項又は第二項に規定する同意は、治験責任医師等に強制され、又はその判断に不当な影響を及ぼされたものであってはならない。
3  説明文書を読むことができない被験者となるべき者(第五十条第二項に規定する被験者となるべき者を除く。)に対する同条第一項に規定する説明及び同意は、立会人を立ち会わせた上で、しなければならない。
4  前項の立会人は、治験責任医師等及び治験協力者であってはならない。


(同意文書の交付)
第五十三条  治験責任医師等は、治験責任医師等及び被験者となるべき者が記名なつ印し、又は署名した同意文書の写しを被験者(代諾者の同意を得た場合にあっては、当該者。次条において同じ。)に交付しなければならない。


(被験者の意思に影響を与える情報が得られた場合)
第五十四条  治験責任医師等は、治験に継続して参加するかどうかについて被験者の意思に影響を与えるものと認める情報を入手した場合には、直ちに当該情報を被験者に提供し、これを文書により記録するとともに、被験者が治験に継続して参加するかどうかを確認しなければならない。この場合においては、第五十条第五項及び第五十二条第二項の規定を準用する。
2  治験責任医師は、前項の場合において、説明文書を改訂する必要があると認めたときは、速やかに説明文書を改訂しなければならない。
3  治験責任医師は、前項の規定により説明文書を改訂したときは、その旨を実施医療機関の長に報告するとともに、治験の参加の継続について改めて被験者の同意を得なければならない。この場合においては、第五十一条から前条までの規定を準用する。


(緊急状況下における救命的治験)
第五十五条  治験責任医師等は、第七条第三項又は第十五条の四第三項に規定する治験においては、次の各号のすべてに該当する場合に限り、被験者となるべき者及び代諾者となるべき者の同意を得ずに当該被験者となるべき者を治験に参加させることができる。
一  被験者となるべき者に緊急かつ明白な生命の危険が生じていること。
二  現在における治療方法では十分な効果が期待できないこと。
三  被験薬の使用により被験者となるべき者の生命の危険が回避できる可能性が十分にあると認められること。
四  予測される被験者に対する不利益が必要な最小限度のものであること。
五  代諾者となるべき者と直ちに連絡を取ることができないこと。
2  治験責任医師等は、前項に規定する場合には、速やかに被験者又は代諾者となるべき者に対して当該治験に関する事項について適切な説明を行い、当該治験への参加について文書により同意を得なければならない。
  

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