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2003/12/14
男性機能不全の治験を担当する新人モニターのキャサリン立川を連れて、ヘンリー川崎は県立モンブラン病院へSDVに行った。

しかし、キャサリン立川はカルテを見るのも初めて、SDVも初めて。
結局、ヘンリー川崎がカルテを読み取り、そのデータがCRF(症例報告書)に記載されているかをキャサリン立川が確認することにした。

その結果、治験分担医師のグラッチェ村田がプロトコルを逸脱(高血圧の患者は、この治験に参加させてはいけないとプロトコルに書かれているのに、参加させていた)していたため、この患者さんは、これ以上治験を続けないようにグラッチェ村田医師に話す。
激怒した村田医師をなだめ、もう一度プロトコルを説明し、2例目の患者さんの登録を依頼。

ゲンナリするキャサリン立川に、ヘンリー川崎は鯛焼きをおごり、慰める。

デーモン部長に、どう報告するか、胃の痛いヘンリー川崎であった。。。
2003/12/15
ヘンリー川崎は、デーモン山田部長に、昨日のことの顛末を話す。
しっかり、怒られる。。。

しかし、昨日入社した体力と笑顔が魅力的なみっちーKに慰められ、新しいプロトコル原案の最後の仕上げに向かう。ついでに、みっちーKの今後の勉強のために、そのプロトコル原案のレビューを頼む。

自分で作成したプロトコルのチェックは、やっぱり第三者に見直してもらうのが一番!

読みにくい点、分かりづらいところ、誤字脱字、GCP上の項目など等・・・・・・。

案の定、みっちーKから赤いペンで真っ赤になったプロトコル案が戻ってきた。
やれやれ。ふ〜〜。

これから最終原稿にまとめ、PDF化し、最近会社に導入されたドキュメント管理のツールへ保存。
あとは、他のレビューアーが各自のPCからコメントを書いてくれるのを待つ。
電子版回覧版だ。 これが、また意外と便利なんだよね。
2003/12/16
ヘンリー川崎は、できあがったプロトコルを社内IRBで審査してもらうために手続きを開始した。

この社内IRBというのも変なシステムで、海外の製薬会社の人には説明しにくい代物だ。

ヘンリー川崎は、かつて、フランスの製薬会社の人に「社内IRBで了承されれば、病院のIRB(治験審査委員会)にかけなくていいのか?」と聞かれたことがある。

そんなことはない。

だったら、そんな手続きと時間ばかりかかる代物はやめたら? と、そのフランス人に言われたが、そうもいかない日本の「慣習」だということで、ヘンリー川崎は答えた。

GCPでは単に「依頼する治験の科学的、倫理的妥当性を治験依頼者(製薬会社)は検討すること」としか書いてないのだから、このあたりのことを理解できないフランス人はますます「東洋人」を不可解な人種だと(肩をすくめて)思ったようだ。

そんな事情もしらないキャサリン立川に昔話をするおやじ。それがヘンリー川崎だった。

みっちーKは、知っているだろうか?
2003/12/17
社内IRBで新しいプロトコルを審査してもらうことになった。ヘンリー川崎。

今日は、部長のデーモン山田も出席。・・・と言っても、困った時に救いの眼差しを向けると決まって、窓の外を見て知らん振りする油断ならない部長なのだ。

こんな時に頼りになるのはやっぱり部下だとばかりに入社したばかりのあずさ2号(彼にはDMの記述個所について)とさら(彼女には治験全体の計画について)を社内IRBに参加させた。

社内IRBで困るのは中途半端な知識しかない部長たちだった。討論のポイントがどんどん、本質からずれていく。
あずさ2号さらが必死になって論点をプロトコルに持っていこうとするが、おやじだちは重箱の隅をつつくばかり。GCPの知識が無いのだからしょうがない。。。

さすがに困ったデーモン部長が、軌道修正を。たまにはやるじゃん!と思うヘンリー川崎。

しかし、この後、とんでもない悲劇が起こることを、ヘンリーは知る由もなかった。
2003/12/17
社内IRBでプロトコルを審査してもらう時に、「治験薬概要書」というのも作り、一緒に審査してもらう。
この「治験薬概要書」には、その治験に使う治験薬の全てが記載されている。

開発・発見の経緯から、化学構造式、物性、動物を使った毒性実験、薬理試験などなどの結果や、もし既にヒトを使った治験が海外などで行われている場合は、その結果も書く。さらに、もし間違って過剰使用した場合の処置方法も書かれている。

上に書いたとおり、幅広い領域のことが書かれているため、それぞれの専門部署の人たちが、自分の担当する個所を作成し、使っているデータや記述に問題ないことを承認し、それらを一冊にまとめる

当然、それぞれの作った部署が責任をもって内容をチェックしているはずなのに、動物実験のデータとヒトでのデータのグラフが間違えていることが社内IRBで見つかってしまった!!しかも社外からの委員の先生に。

これから2日間不眠不休で改訂と再チェックをして、なんとか来週の月曜日に治験届を当局に出したい。

ぐったりして、社内IRB会議室を出てくるデーモン山田、ヘンリー川崎、かずさ2号、さら。。。

これからすぐに作業分担を決め、再度内容をチェックし、他にもミスがないかをまず探す。
その後、訂正個所をワードとエクセルで作り直し、再度、チェックをかける。土曜日も出てくれば、なんとか月曜日には治験届を予定通り、提出できそうだ。

体力勝負の入力はヘンリーとかずさ2号が担当し、さらとみっちーKがミスが無いかをチェックし、最後にデーモン部長がチェックする。 さ〜〜〜〜フリスクでも買いにゆくか? 夜はまだまだこれからだ・・・・
2003/12/21
不眠不休の2日間で、ようやく「治験薬概要書」を改訂し、その改訂項目を社内IRBの持ち回り審査で承認をもらった。
これで「治験届」を提出できる。

しかし、何故、ヒトと動物の実験データグラフが間違えていたんだ?
どうして、誰も気づかないで社内IRBまで来てしまったんだろう?
腑に落ちないヘンリー川崎は、キャサリン立川とみっちーKに調査を頼んだ。

すると、とんでもないことが分かった

ホーライ製薬では「治験薬概要書」の案ができたら、それぞれの部署のQC担当者が、その内容をチェックすることになっていた。
ところが、ある部署のQCチェック記録をみっちーKが確認したところ、「データとグラフの整合性」というチェック項目には、しっかり「NG」(No Good)にチェックが入っていた。

おいおい!なんで「NG」にチェックが入っているのに、その対応がなされていないんだ?

みっちーKがQC担当者にその理由を聞いたところ「私は、ただチェックをしてくれと言われたので、チェックをしただけです。その先のことは知りません。」という返事。

目の前がクラクラするみっちーK

前途多難な「ホーライ製薬」だと、ため息をつく彼女に明日はあるか?
2003/12/21
なんとか治験届を出したが、提出してから最低2週間は当局からの疑義事項が無いかどうか待たないといけない。それまで病院とも治験の契約を締結できないことになっている。

この間に、かずさ2号とさらには治験責任医師たちを回ってもらい、治験届を提出したのでまもなく治験が開始できることを連絡してもらう。
そろそろ、治験に参加できそうな患者さんを具体的にカルテ等の資料からピックアップしてもらうようCRCにもお願いしておくことも忘れない。

黒丸にも、治験届を出したので「プロトコル作成経緯」の監査をやってもらうよう依頼しておかないとね。随時、早め、早めの監査がコツ!

フロリスには今後のIR活動について戦略を練ってもらうことにした。

ちなみに、デーモン部長は先日の不眠不休の仕事がたたり、ダウン。本日は休暇中。
インフルエンザのワクチンも打っておいてもらいたい。

年寄りと子どもはインフルエンザに弱いからね。。。。
2003/12/23
黒丸から早速、監査報告書が提出されたので、キャサリン立川に対応をお願いする。
今回の指摘は、ほとんど凡ミスだった。(だからと言って許されるわけでは、もちろん無い。)

そうこうするうちに、創薬部門長のちゃちゃから、当社としては久々に新しい治験薬候補があがってきた。
マラリア原虫から「免疫抑制作用」を持つ物質が発見されていたが、残念ながら、そのままではいろんな副作用が有ったり、効果がイマイチだった。

この物質からいろんな誘導体をコンビトケミストリーの技術を駆使して作り出し、ようやく動物によるスクリーニング(非臨床試験)から一つの候補が残った。
この物質は特にリウマチに効果がありそうなデータが示されていた。
来年早々には、ヒトで初めて試す第1相臨床試験(Phase-I)に入りたい。しかし、問題が有った

治験を開始するには、相当量の化合物が必要だった。ところが、この化合物を工業規模にスケールアップするには、複雑な工程内管理(In-process control)が必要だ。
そこで、ちゃちゃとヨネヤマたちのチームがプロジェクトチームを結成し、この問題を解決する方法を検討することになった。(もちろん治験薬と言えども、治験薬GMPに則って作る必要があるのだ。)

このプロジェクトの進捗を臨床担当部門にも報告したいので、担当者を決めたかった。ところが、肝心な時にいないデーモン山田。(風邪から立ち直った部長は、忘年会に追われているのだった。
コラ〜〜〜!!、なんで社長より忘年会の数だけは多いのだ?!
2003/12/23
頼りにならないデーモン部長はホットこう。
代わりにハレ〜に「ちゃちゃ・ヨネヤマ」チームプロジェクトの臨床部門窓口兼コーディネーターをお願いすることになった。

実は、このようなプロジェクトのコーディネートは結構、大変! いろんな部署との連携、報告をタイムリーにしなくてはいけない。この点、ハレ〜は70年周期の出社となる可能性もあるので、ちょっと心配(笑)。

キャサリン立川が作成した「監査回答書」について、ヘンリー川崎はBECKを交えて検討をした。
監査からの指摘と回答事項については臨床部門の中で共有化する必要がある。
そうしないと同じ様なミスを何度も別のチームで犯してしまうからだ。
部内会議で、BECKが今回の監査結果をプレゼンすることになった。

プレゼンは英語でなく日本語でいいと聞いて、ホッと胸をなでおろすBECKであった。。。
2003/12/25
BECKが「監査指摘」のプレゼン準備をしている間に、先日治験届を出したプロトコルの「解析計画書」をぽちりんに作成してもらうことにした。

だいたいの解析計画はプロトコルにも記載してあるが、より詳細な計画書を作成する必要がある。

さらに、治験が終了した時に作成する「総括報告書」を、今のうちから書けるところは書いておくと、あとが楽なので、解析パートについても、ぽちりんに書いておいてもらおう。

ところでホーライ社長は、ここのところ風邪気味だ。
聞くところによると、社長は自社の風邪薬を飲まずに、他社の薬を引き出しからこっそり出して飲んでいるらしい。。。

とんでもない社長だ!
2003/12/27
緊急事態発生!

治験に参加されていたある患者さんが、ショック状態になり緊急入院した連絡が入った。
電話で、治験責任医師から患者さんの状態を聞く。
患者さんのイニシャル、性別、年齢、考えられる被疑薬、治験薬との因果関係、現在の状況、入院までの経緯など聞きだせるだけの情報を聞いて、「重篤な有害事象(第一報)」を作成する。

これを「安全性部門」のMTに提出

医師から詳細を聞くためにアポを取る。

ヘンリー川崎は、かずさ2号とみっちーKに情報収集に行くよう伝える。

また、会議ばかりで自分の席には3分といないデーモン部長の携帯に電話をかけ、さっさと下らない会議を抜け出してくるように言った。

今走っている「男性機能不全」の治験薬の副作用に、今まで「ショック」は無かった。

もし、今回の「ショック症状」が治験薬との因果関係が否定できない場合、「未知重篤の副作用で入院」に該当するので、当局に15日以内に報告する義務がある。
その準備もMTに進めておくよう、ヘンリー川崎は連絡した。

患者さんの生命に関連することに、「年末年始」など無かった
2003/12/27
出張から戻ってきたかずさ2号とみっちーKにショック状態になった患者さんの詳細を報告してもらった。

それによると、現在、患者さんは「ショック症状」に対する治療を受け、正常に戻りつつあるとのこと。

それを聞いて、まずは一安心。
やはり治験に参加された患者さんに万が一のことがあるのが一番心配だ。

治験責任医師からの情報では、その患者さんは一昨日、風邪のため、近所の病院にかかったとのこと。
そこで、「抗生剤」が処方された。患者さんは夕食後、風邪薬と抗生剤を飲んだ。それからしばらくして、呼吸困難と血圧低下で倒れ、救急車で運ばれてきた。

ただちに、エピネフリンなどで治療が開始されて、その後は順調に回復に向かった。

これらの情報から、患者さんは抗生剤によるアナフィラキシーショックだったと思われる。
従って、治験薬との「因果関係無し」とのこと。

以上が二人の報告だった。
責任医師には「重篤な有害事象報告書」を病院長宛に提出してもらうために書類の作成を依頼してきたとのこと。
社内の安全性部門へも「第二報」を提出するよう二人に頼んだ。MTも正月早々あわただしい作業をしなくていいので、これを聞いてほっとすることだろう。

やれやれ、これで少しは落ち着いて正月が迎えられそうだ。

ヘンリー川崎は、雪がちらつく故郷を思い出しながらコーヒーを飲んだ。


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