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モニターのコンピテンシー
臨床試験、治験のモニターに求められるコンピテンシーをまとめてみました。
モニターのみなさんは、この中からご自分の強いコンピテンシーと弱いコンピテンシーを見つけ、それぞれ意識しましょう!
弱いコンピテンシーを補強するには、それができている他のモニターの行動を真似するといいですよ。
大項目 | 中項目 | コンピテンシー |
モニターとしての基本 | 基本動作 | @清潔な身なり,及び礼儀正しい挨拶・言葉使いで面談している |
(動作・知識・能力) | A事前準備を整え、目的意識をもって面会している | |
B自分の組織にある情報を必ず確認している | ||
C多くの治験担当者と強い信頼関係を構築している | ||
D適時・適所に報告・連絡・相談している | ||
業界・周辺知識 | @医薬品業界の概況、治験環境の概況を理解している | |
A担当施設のSOPや院内ルールについてよく理解している | ||
B治験に係る一連の費用について理解している | ||
C健康被害発生時の補償・賠償について理解している | ||
DSMO・CRO・CRC等の業務について理解している | ||
法的知識とその遵守 | @新GCPをよく理解し、不遵守に該当しないかを常に検証しながら、モニタリング業務を行っている | |
A最新の通知・ガイドライン類を理解し遵守している | ||
B薬事法の基礎知識について理解し遵守している | ||
C医療法・特定療養費制度の基礎知識を理解している | ||
D社内SOPを理解し、遵守したモニタ-活動を行っている | ||
領域知識 | @実施計画書・治験薬概要書を理解し、目的・根拠など明確に説明出来、質問には的確に回答している | |
A各種手順書を理解して治験担当者に説明し、手順書に沿う治験実施を要請している | ||
B学会・研究会・専門誌等から領域の最新情報を収集している | ||
C専門医とディスカッションできるレベルの領域知識を習得している、またディスカッションを通じて領域知識をさらに蓄積している | ||
D総括報告書・統計等に関する基礎知識を有し、プロトコルで求められる真に必要なデータ情報を収集したり、データの的確な説明が出来るようにしている | ||
活動計画管理能力 | @活動計画に挑戦的な検証数値を設定している | |
A活動計画を月次・週単位に具体化している | ||
B活動計画の優先順位を明確にしている | ||
C活動計画と整合性の取れた訪問を行っている | ||
D活動計画推進上の課題を明らかにし対策を講じている | ||
プレゼンテーション能力 | @訪問目的が明快に伝わるプレゼンテーションをしている | |
A面談者のレベルやニーズに合致した内容となるよう配慮している | ||
Bインパクトを与えられる表現法を身に付けている | ||
C説明会時は、プレゼン資料作成に工夫し、必要に応じて予行演習なども行っている | ||
Dプレゼンテーション機器(PCおよび周辺機器、その他)を効果的に活用している | ||
記録・資料の管理能力 | @モニタリング報告書は5W1Hを正確に漏れ事項なく記載し、1週間以内に提出している | |
A書類の作成時・提出時・入手時には必ずチェックを行い、ミスがあれば即対応を行っている | ||
B入手資料を必要書類と共に保管部署に速やかに提出している | ||
C責任医師に必須保存文書の保管の有無を随時確認している | ||
D入手・提出資料(写)などを何らかの方法で自己管理もしくは把握しており、QCにも即対応している | ||
モニタリング活動実践能力 | 面談技術の能力 | @効率的な面会を行うために、治験関係者ごとに、いつ、どこで面談できるかの情報を把握している |
A治験担当者の学会や院内における影響力、人脈について把握している | ||
B約束事は必ず守り、速やかに実行するようにしている | ||
C不満やクレームには俊敏かつ誠実に対応し、対処策を適切に実行している | ||
D治験担当者の否定的な態度・言動にも臆することなく、かつ円滑に対処している | ||
調査・選定 | @MR情報・学会情報・治験実績などを基に、関係者とも充分に検討した上で適切な候補施設を選定している | |
A施設SOPを充分に確認した上で、治験実施医療機関としての適否を検討している | ||
B治験実施体制、特にCRC確保の可否・協力の程度についても確認して、適否を検討している | ||
C受け持ち患者数・プロトコル基準に合致する患者数・同意取得可能患者数などを具体的に提示していただき、実施可能な被験者数を明確に把握して、適否を検討している | ||
D予定責任医師とプロトコル案(テーマ特有の検査関連事項など)について事前協議を十分に行って、適否を検討している | ||
IRB申請 | @責任医師が被験者にわかり易い説明同意文書を作成することに協力している | |
A施設の依頼申請手順(提出資料・部数・期日・その他)を十分理解し、的確に調整対処して、可能な限り早い時期のIRB審査を受けられるようにしている | ||
B医療機関内の治験実施体制を確認して、申請前に関連部署(臨床検査部・会計・診療科長・等々)にも十分な説明をしている | ||
C必要に応じて、事前ヒアリングなどへの円滑な対応を行っている | ||
D必要に応じて、施設でのSMO・CRCの業務内容を把握し連携して業務を遂行している | ||
契約 | @施設毎の契約書提出方法・時期を確認して、適切な方法で、適切な時期に提出している | |
A契約書の提出時・入手時は、記載事項(契約内容・施設名・住所・所属・役職など)が適切であるかを厳密に確認している | ||
B不備事項については、施設への修正要請や社内決裁対応、および必要に応じて「覚書」の締結をしている | ||
C責任医師にも契約内容を充分に説明しておき、書類上における「責任医師の承認」を確認するようにしている | ||
D「継続審査」の手続き時期を忘れることなく、必要に応じ継続契約の書類提出等にタイムリーに対応している | ||
治験薬設置 | @治験薬管理者・調剤実務担当者に対し、治験薬管理手順に関する説明(会)を必ず実施している | |
A治験薬管理者に治験薬の保管場所を確認して,適切な保管と治験期間中のモニタリング実施(適正使用・保管状況・治験薬管理表の整合性などの確認)に関する協力を依頼している | ||
B被験者への「服薬時の注意書き」「治験カード」などを準備しておき服薬状況の適切管理を依頼している | ||
C治験契約締結後、治験薬管理手順書が病院長に提出された後に、治験薬を交付している | ||
D未使用治験薬・残薬の治験終了後の回収と適切な保管について、十分な説明を行っている | ||
治験開始時 | @必要に応じて、治験責任医師に徹底のための治験説明(会)を行い、合意事項について再確認を行うようにしている | |
A「スタートアップミーティングの実施」・「来院時受診検査スケジュール表の作成」などにより、治験関係者全体の役割分担と作業の流れが確認できるようにしている | ||
B必要に応じて、スクリーニング表を入手・スクリーニング状況を検討し、症例エントリー予測計画を立てている | ||
C被験者の来院予定表を作成している | ||
D最新の臨床検査基準値を入手している | ||
治験実施中 | @実施計画書・治験薬概要書・責任医師・分担医師・等々の変更時はタイムリーに変更手続きを行ない、施設関係の変更事項は漏れなくPLに報告し、治験変更届で変更されたことを確認している | |
A安全性情報を定期的に提供し、IRB審議のための対応を適切に実施している | ||
B施設での有害事象の有無を随時確認し、察知した場合は迅速に関連部署に連絡している,また重篤・重要な場合はさらに定められた期間内に「有害事象報告(詳細版)」を入手し提出している | ||
C随時SDVをおこない適切に実施されているかを確認している、逸脱があれば担当医師に伝えて逸脱発生原因をさぐり、再発防止措置を講じるとともに、逸脱記録を入手している | ||
D被験者の来院予定を把握し、適切なタイミングでモニタリング(状況確認等)を行っている | ||
E他科・他院の受診を確認した場合は、担当医師に対し、被験者の同意の下に治験参加中であること・併用禁止薬に関すること・等の受診先主治医への連絡を要請している | ||
F第一投薬例があった時点で治験薬の処方手順を治験薬管理者に再確認することにより、ミス発生防止の意識付けを行っている | ||
G治験期間中における治験薬の投薬管理状況・整合性状況を確認し、治験薬保管管理記録(写)を入手している | ||
H責任医師・分担医師・CRCにテーマ関連情報・話題・全体の進行状況等を定期的に伝え、治験意識をたかめるようにしている | ||
I施設における治験推進上の課題に対し、適切な対策・改善案を施設スタッフと共に検討し、実行するようにしている | ||
CRF回収・点検・SDV・FB | @Book型CRFにおいては、治験終了症例の速やかなCRFの記載と回収を要請している | |
A手順書に定められた時期に速やかかつ適切にSDVを実行している | ||
BSDV時は必ず医薬品集・カルテ用語辞典等を持参し、またSDV手順書に沿ったSDVを実施している | ||
Cカルテ記載内容がよく理解・把握できるよう、自己研修を目的としたSDVに積極的に同行する等の自己研鑽を行っている | ||
DSDV時、CRFや原資料の記載内容が医学的に妥当であるか・治験薬投与記録と矛盾がないか等、矛盾・逸脱・不整合の有無などの見落としが無いように、丹念に点検している | ||
E臨床検査値の基準値は最新の検査基準値も入手している | ||
FCRFと署名・印影一覧の整合を確認している | ||
GSDV実施報告書は正確かつ速やかに作成するようにしている | ||
HFB実施前に、FB事項は全体に矛盾がなく、整合性が取れていることを確認してから、FBを実施している | ||
IFBは的確に行い、整合性の取れた回答であるかを確認し、またその場でFB項目漏れがないかの確認を行っている | ||
必須保存文書直接閲覧 | @事前に医療機関に保存されているべき資料を把握した上で、必須保存文書の直接閲覧を行っている | |
A事前に直接閲覧の書類一覧表などにより、施設に書類を準備していただくことを依頼している | ||
B終了報告書がIRBで報告されていることを確認している | ||
C直接閲覧の記録は正確かつ詳細に記載している | ||
D必須保存文書の保管期限までの保管を要請している | ||
組織力の向上 | リーダーシップ | @組織内で職務遂行の牽引役を努めている |
A相互研鑚できる組織風土の醸成に率先して取り組んでいる | ||
B自己啓発を行い、いっそうの能力向上をめざす等、他者の見本となっている | ||
C後輩・同僚の課題解決をサポートしている | ||
D組織ビジョンをよく理解し、その実現に取り組んでいる | ||
人間関係の維持向上 | @組織内の協力関係を大切にしている | |
A他の治験テーマ・他のモニターの業務状況等をよく理解している | ||
B社内の他部門組織の協力を得ている | ||
C自分の考えに固執することなく他者の話を聞き入れている | ||
DOJT・OFF JTを問わず、例えば自主研修会などの「場」に積極的に参加している |